アジア動物基金(Animals Asia Foundation)は、2月24日に開催が予定されている紅河デルタ地方バクニン省の伝統的な祭り「豚の首狩り祭」を「暴力を扇動し不快感をもたらす不適切な活動」として、関連機関に対し同祭りの中止を要請している。
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これに対し同省文化スポーツ観光局は、「以前にも同基金から同様の要請を受けたことがあり、祭りの開催委員会に調整するよう指導した。その後、祭りの中の儀式はこれまで通り広場で大衆の前で行われているが、豚を屠殺するところは屋内で責任者のみで行うようになった」と回答した。
地元住民らは祭りの中止要請について、「小さな子供を含む大衆の前で豚を屠殺する行為は確かに不適切だが、開催の方法も変わったし、中止する必要はない」、「ハイフォン市(紅河デルタ地方)の闘牛祭りなど、全国各地にも野蛮と思われがちな祭りはいくらでもある」、「この地の伝統として守るべき」など、同基金に反発する声を上げている。
なお、この「豚の首狩り祭」は、同省バクニン市カックニエム街区(旧ネムトゥオン村落)で毎年旧暦1月6日に開催される、豚を生贄として捧げる伝統的な祭り。李(リー)朝時代(1009~1225年)にこの地方を開拓したリー・ドアン・トゥオン将軍とその部下達が、生き延びるためにイノシシを殺して食べたという言い伝えに由来している。
生贄となる2頭の豚はそれぞれ檻に入れられ、村人たちの祭行列に運ばれて村落中を回った後、多くの人々が集まる広場で屠殺される。この地方では生贄の豚の血は無病息災や豊作の象徴であると信じられているため、村人たちは競って豚の血に群がり、幸運を祈る。またその肉は、村落の繁栄を祈念しつつ、住民に配られる。