やがて、パイロットになるために誰もが越えなければならない関門である単独飛行訓練に移る。ベトナムの訓練生の中には、過去に山に墜落して死亡した人がいた。1人ではどうしても操縦することができず、帰国した人も少なくない。
(C)VnExpress,VNTG、エアバスの操縦席のチャウさん |
チャウさんも、自分1人で操縦できるのか、何か起きた場合に対処できるのかと不安に駆られたという。「単独飛行に臨む時は、地上での細々したことは全て忘れて、操縦に集中するようにしました。ツバメが空を飛んでいるイメージを描き、自分は他の人ができないことを見聞きできるのだと自信を持つようにしました」
チャウさんは2010年末に、1年8か月のフランスでの訓練を終えて帰国し、短距離路線でATR72型機の副操縦士として働き始める。2013年9月には、エアバス330型機の副機長を任されるようになった。飛行時間が8~10時間に及ぶ日本や韓国、オーストラリアに向かう国際路線だ。
チャウさんは現在、6日勤務で1日休み、または7日勤務で2日休みのスケジュールで働いている。家に帰ると、妹を誘ってスイーツを食べに出かける。休日には音楽を聴いたり、映画鑑賞が好きな年頃のお嬢さんの顔に戻る。