ホーチミン:スラム街でたくましく生きる人々、撤去が心配

2012/06/16 07:39 JST配信

 望む望まないに関わらず、どんな都市にもスラム街と呼ばれる場所がある。多くの地方政府はスラム街の撤去を目標にしているが、都市はスラム街に暮らす人々で支えられてもいる。ホーチミン市もその例外ではない。11日付トゥオイチェー紙(電子版)が報じた。

(C)Tuoi tre,Dinh Dan、HCM市ビンタイン区のスラム街
(C)Tuoi tre,Dinh Dan、HCM市ビンタイン区のスラム街

 ホーチミン市ビンタイン区のニエウロック運河沿いには、トタン板で作られた粗末な家がずらりと並んでいる。そんな家の一つに住むグエン・ティ・トイさんは、南中部クアンガイ省から12年前に夫とともに同市にやって来た。

 トイさんはおこわを学生や勤め人相手に売り、夫は理髪店に勤めている。2人の稼ぎを合わせると1か月当たり1000万ドン(約3万8000円)の収入があり、生活費や2人の子供の学費などを支払った後、毎月100万~200万ドン(約3800~7600円)を貯金している。トイさんと同じ長屋には60人ほどが暮らしているが、皆中部の出身者だ。

 ビンタン区のビンロック集合住宅に隣接するスラム街には数百人が住んでいる。こちらはいずれもメコンデルタ地方の出身者だ。ここではほとんどの人が、工場から原料を受け取り機械を使って輪ゴムを生産している。1人1日当たりの稼ぎは約20万ドン(約760円)だ。

 各工業団地の周囲にはスラム街が広がり、労働者が暮らしている。市内14か所の工業団地・輸出加工区で働く約27万人の労働者の7割は地方出身者で、スラム街は彼らの生活の場となっている。

 ただ、スラム街は常に撤去の対象として目を付けられている。前出のビンタイン区のスラム街に住むナムさんは「土地収用が実施されるとき、市に戸籍がある人は補償を受けられるが、地方出身者は路頭に迷うだけになる」と話した。このスラム街は13年前に土地収用令が出されているが、まだ実施されていないだけだという。

 8区タウフー運河沿いのスラム街は2年前に撤去され、今は更地の状態だ。ここに住んでいた人々の多くは、それまでの仕事を続けるために近くに家を借りて暮らしている。補償金をもらってビンチャイン郡で家を購入したというチンさんは「家には親が暮らしている。仕事をするため、兄弟5人で近くに部屋を借りている」と語った。

[Tuoi tre online, 11/06/2012, 09:30,O ]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ホーチミン市1区ファングーラオ街区当局は18日朝、ファングーラオ通り、ブイビエン通り、ドークアンダ...
 ホーチミン市1区都市秩序管理部隊と同区警察は13日、区内タンディン街区チャンクアンカイ通りで民家や...

新着ニュース一覧

 ボー・ティ・トゥー・スオンさん(女性・68歳)は、南中部沿岸地方ダナン市の中心部で、シンガポール系配...
 ホーチミン市の洋菓子店「ル・プチ・ローラン(Le petit Roland)」は、南部解放・南北統一50周年を記念...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)記念事業の一環として、ホーチミン市1区人民...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 栃木県鹿沼市の市文化活動交流館芝生広場で4月19日(土)、「2025ベトナムフェスティバルinかぬま」が初...
 米国の半導体大手クアルコム(Qualcomm)は16日、ハノイ市で行われたグエン・チー・ズン副首相との会談で...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国家会議センターで16日夜、ベトナムにおける3件のプロジェクトを対象と...
 政府は15日、少額取引決済向けのモバイルマネーの試行期間を延長する決議第87号/NQ-CPを公布した。 ...
 ライオン株式会社(東京都台東区)は、ベトナムの持分法適用関連会社で、医薬品・医療機器の製造販売を中...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、フェニカー大学(Phenikaa University、ハノイ市)を、「構成大学と...
 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は4月19日、4月30
 ブイ・タイン・ソン副首相は15日、「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年3月の訪日ベトナム人の数は前年同月比▲5.0%減の6...
 ベトナム航空局(CAAV)によると、2025年1~3月期の航空各社の旅客輸送量は前年同期比+9.2%増の約2070万...
 ホーチミン市人民裁判所は14日、メンバー6万6000人近くの売春斡旋ルートを組織した元締めのグエン・フ...
 日本の財務省が発表した2025年3月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比2.35...
トップページに戻る