こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。このコラムでは、ベトナム人材に関するお話を筆者の独断と偏見で切り口を変えながら書き綴っていきます。今回は、ベトナム人スタッフを管理職へ抜擢する際に注意すべきことをお話させて頂きます。
メリットがなければ昇格したくない
最初に唐突ではありますが、次のようなケースがあったとします。
「Aさんは非常に気配りもできる。また、日本人の考えも理解してくれる。ここは思い切ってリーダー格に昇格させて、より経営層の考えをスタッフに浸透させていくときだ!」と勇み英断を敢行。「Aさんも間違いなく喜んでくれるに違いないし、組織もこれでしばらくは安泰だ」と安堵したのも束の間…予想外の拒否を受けてしまいます。
何故でしょう?このような経験をされた方も少なくないのではないでしょうか?日本人からするとAさんの行動は理解に苦しむところです。筆者も同じような経験があり、その時に気付かされたことがあります。
ベトナム人はそこにメリットがなければ、大役を引き受けることに興味がありません。今回のケースをもう少し詳しく見てみましょう。
何故、昇格を拒否するのか?
まず、Aさんは管理職へ興味があるタイプか、ないタイプか?
もしないようでしたら、無理をして引き受けるということはありません。また、大役を引き受けて、その見返りは何だろうか?と考えます。時間軸は日本人と違うところもありますが、そこを見極めようとする真剣さにかけてはベトナム人は秀でていると思います。従って「責任の割にはおいしくない」と判断した可能性があります。
言葉を全て理解しているわけではなくとも、日本人管理者が本社とどういう関係にあるのか、というのは本当によく見ています。もし本社主導でベトナム子会社に決裁権がなく、本社の顔色を常に窺わないといけないようであれば、管理者になろうものなら、看守役を引き受けることになる、とも取られかねません。
管理職に抜擢する際の注意点
やはり管理職となったからには、条件アップは当然のこと、責任に見合った裁量権ももらう―その中でも特に労務管理面では現地に合った方法を展開したいはずです。ですから日本人管理者がそこに理解を示す必要があります。
そして、一方的に管理者内定の辞令を発令するのではなく、何故その人を管理者にしたいと考えたのか、その評価した点を伝えることも忘れてはいけません。親の気持ち子知らず、子の気持ち親知らず。日本人責任者とベトナム人スタッフもまた然り。まずは管理者にする=高く評価をしている結果、ということを理解してもらうことが必要です。ただ、一部クリエーターやエンジニアなどの専門職の人は、そもそも管理者になりたくないみたいですが…