ベトナムでは3年程前から、ベトナム製品を優先的に使用しようと呼びかける「ベトナム人による国内製品利用促進運動」というのが展開されている。米市場調査会社ニールセンが昨年12月に発表した調査結果によると、ベトナム人消費者の71%がベトナム製品を高く評価しているという。また、2011年の調査でもホーチミン市の消費者の90%がベトナム製を選ぶと回答していた。
その一方で、電子機器については外国製品を好む傾向が顕著のようにも映る。実際に外国製品とベトナム製品のどちらかを選択する場合、どのラインが別れ目になるのか、SMS(ショートメッセージサービス)を利用したVERAC独自のアンケート調査を実施した。質問は選択形式で、回答者は18歳~43歳の166人(うち男性81人、女性85人)。
「ベトナム製品と外国製品について、パッケージや品質が同程度の商品ならどちらを選ぶか」という質問に対し、「ベトナム製品」と答えたのは56%、「外国製品」と答えたのは17%、「値段による」と回答したのは27%だった(表1)。
「外国製品」と回答した人の中で「日本製」と回答したのは64%で、やはり日本製に対する信頼性はかなり高いようだ。次に多かったのは韓国製の18%、タイ製の14%。中国製は0%だった(表2)。
(表1)
(表2)
外国製品がベトナム製品より値段が高い場合、どの程度の値段差であれば外国製品を選ぶか質問したところ、外国製品の値段がベトナム製品の「1.1倍」「1.2倍」と回答した人が最も多く、あわせて全体の74%に上った。
(表3)
外国製品を買う理由として最も多かったのは「品質が高い」が48%、次に「安全性が高い」の19%だった。「所有していることで人から良く思われるから」を選択したのは7%と低かった(表4)。
(表4)
「ベトナム製品」を買うと答えた人にその理由を尋ねたところ、「ベトナム人として、ベトナムの企業を応援したいから」と回答したのが26%、「ベトナムの製品は品質が高まっているから」と答えたのが22%、「ベトナム製品は比較的安全だから」と「ベトナム製品は比較的安いから」がそれぞれ8%という結果となった(表5)。
(表5)
また、「国内製品利用促進運動」を知っているか尋ねたところ、86%が「知っている」と回答(表6)、また「この運動に応えようと思う」と回答した人も全体の85%に上った(表7)。
(表6)
(表7)
今回の調査結果により、外国製品好きだと思われていたベトナム消費者も、ベトナム製品の品質や安全性が向上するにつれ、手ごろな価格の自国製品を好むようになってきている様子が窺える。またステイタスシンボルとして外国製品を選ぶというより、品質と価格を考えて選択している人が殆どだということもわかった。また「中国製」を選択している人が皆無であったことも考え合わせると、現在のベトナム・中国の領土問題をめぐる緊迫した関係から、国内の愛国心も急速に高まっており、今後も自国製品の使用を優先しようとする人は増えていくと思われる。