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テト(旧正月)前の忙しないホーチミン市の喧騒の中、小さなカフェで若者たちが奏でるギターの音と甘い声は聴く者の心を癒す薬となる。しかし、それらのメロディーと情熱的な歌声の裏には、知られざる多くの物語がある。
感動的なパフォーマンスを終え、忙しく機材を片づけているルウ・ブー・ディン・フイさん(男性・30歳)にとって、カフェで歌うことは長い間情熱を捧げている仕事だ。毎晩フイさんとバンドの「ダブルエース(Double Ace)」は、マネージャーが手配したスケジュールに従ってカフェや喫茶店でパフォーマンスを行っている。
フイさんは、日中は別の仕事で安定的な収入を得て、音楽という夢を追っている。
フイさんはパフォーマンス後に感極まった様子で感想をこう語る。「ステージに立てることが私にとって最高の幸せです。毎回、お客さんは私のメロディーに聴き入っている様子で、1曲終わるごとに拍手が鳴り響きます。それは、この茨のような音楽の道を揺らぐことなく進むにあたり、大きなモチベーションになっています」。
出演料について、現在の収入はこの仕事を始めたばかりの頃よりは安定しており、1時間半から2時間程度続く一晩のパフォーマンスでおおよそ数百万VND(100万VND=約6200円)だという。
フイさんと同様に、ボー・ティエン・ニャンさん(男性・25歳)もホーチミン市3区ディエンビエンフー通り197番地にあるカフェ「サイゴン・ダムダン(Sai Gon Dam Dang)」でいつもパフォーマンスを行っている。
ニャンさんにとって、マイクを握ってステージに立つ瞬間が日々の仕事のプレッシャーから解放される喜びの瞬間だ。「同じ情熱を持つ仲間に出会い、お客さんと交流し、それぞれの曲を通して感情を伝えられることは、私にとって何ものにも代えがたい幸せなんです」とニャンさんは語る。