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ある商人によると、この観賞魚市場は1975年以前に始まった。ビンチャイン郡やクチ郡、ホックモン郡、6区、8区など多くの区・郡から商人が自発的にこの通りに集まり、観賞魚の売買をするようになったという。
初めは数人しかいなかったが、徐々に人数が増えていき、小さな通りは国内最大の取引量を誇る観賞魚市場として賑わうようになった。各種の観賞魚は、南部メコンデルタ地方のロンアン省、ティエンザン省、カントー市、ビンロン省などの各省・市から、またホーチミン市郊外の各郡からこの市場に集められ、ここから全国の観賞魚専門店に流通していく。
この市場で観賞魚専門店を営んでいるムオイさん(男性)は、年齢と商売の規模の大きさから、この市場の「ボス」と呼ばれている。しかしムオイさんは「ボス」の称号を否定するように手を振り、優しく微笑んで「私も小さい商売ですが、私の場合は固定の店があるので昼夜問わず販売できるんです」と語る。
「毎晩、この市場から何十万匹もの観賞魚がさまざまな場所に運ばれていきます。市場での値段は専門店よりも20%程安くなっています。市場は夜明け前の数時間しか営業しないので、売り手も買い手も暗闇の中で魚を精査するため、懐中電灯を照らすんですが、それが、この市場のユニークなところですかね」と、ムオイさんは冗談めかして言った。
観賞魚市場からそれほど遠くない場所にある別の「男性市場」は、5区にある「トゥアンキエウプラザ(Thuan Kieu Plaza)」沿いの歩道に点在する、昆虫市場だ。
夜明け頃から、商人たちは商品を並べ始める。幼虫からイナゴ、バッタ、コオロギ、ムカデ、ミミズ、トカゲ、ヘビまでが発砲スチロールの箱に詰め込まれており、心の弱い人は思わず身震いしてしまうだろう。
ここの商人たちは、ホックモン郡やクチ郡などのホーチミン市郊外から来ており、中には東南部地方タイニン省から昆虫を持ち込んで売っている人もいる。問屋から仕入れる人もいれば、自分で直接捕まえた昆虫を売る人もいる。
この昆虫市場がどうして「男性市場」と呼ばれているのかと尋ねると、ここで30年近く昆虫を売っているというティンさん(女性・48歳)は「お客さんの大半が男性だからよ」と笑った。客の男性たちは、趣味で鳥や魚を飼っており、餌としてミミズや幼虫を買いに来るのだという。