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新型コロナ禍になり自宅でオンライン学習をしなければならず、親戚が2人にスマートフォンをくれたものの、1台を交代で使うため、1人が授業を受けている間はもう1人は休まなければならなかった。
数か月後、姉のキム・アインさんの学校がアインさん家族の状況を知り、パソコンを貸してくれたため、姉妹は2人とも休むことなく授業に参加することができるようになった。
姉妹は13歳と9歳になっても未だに新品の服を着たことがなく、制服も含め、いつも寄付してもらった物を着ている。2人の服に穴が開いているのを見たティンさんは何度も市場に服を見に行ったが、その値段が10回分の食費と同じだったため、ため息をついて何も買わずに帰宅した。
暑い夏の午後には、親子は誘い合ってよく木陰に座って涼んでいる。姉妹は水蒸気を噴出するミスト扇風機を夢見たことがあるが、その電気代を計算したティンさんは「誰かがミスト扇風機をくれたとしても、電気代がかかるから使うつもりはないわよ」と舌打ち交じりに伝えたのだった。
ティンさんは、金欠で苦労しながらも近所の人に借金をする必要がほとんどないことを誇りに思っている。ティンさんは自分の病状をわかっており、どれだけ生きられるかもわからないため、誰からも借金はしたくないのだ。「もし自分が死んでしまっても、子供2人はまだ小さくて借金を返すことができず、申し訳ないですから」とティンさんは語る。
村落長のグエン・ティ・ホアさんによると、ティンさん家族は村の中でも特に困難な状況にある家庭だという。2017年にアンビエン村の女性協会と祖国戦線が共同でティンさん家族への寄付金を呼びかけ、老朽化した広さ20m2の家の修理とベッド、椅子、テーブルなどを購入してくれた。それ以来、ティンさん家族は雨が降るたびに家の中を行ったり来たりして雨水を集める必要がなくなった。
新型コロナ禍のこの2年間、ティンさんはハノイ市の病院を受診することがほとんどできず、足が痛んだり発熱したりした時には自分で薬を買って飲んでいる。ティンさんの1番の心配事は、病気が進行し悪化しているものの治療のためのお金はなく、子供たちが孤児になってしまうかもしれないということだ。
「もし奇跡が起こるなら、2人が学業を途中でやめざるを得なくなることのないよう、2人を育てていくための健康な身体がほしいです」と、ティンさんは胸の内を明かした。