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長年走り込んでいるため、ダットさんにとって40km余りという距離は何ともない。しかし、マンションの屋上を走るというのは初めてのことだった。屋上は幅が25mしかないため、42km余りを走るためには端から端まで860往復もしなければならなかった。
「屋上でのマラソンは、これまでに走ってきたマラソンとは違いました。長い直線距離を走るのではなく、25mの短い距離を1人で何度も行ったり来たりしなければならなかったからです。無観客で試合するサッカー選手が退屈に感じ、やる気が出ないのと同じです。その時の写真も動画も自分で撮影しました」とダットさんは語った。
さらに、屋上の地面には苔が生え、霧雨と相まって滑りやすくなっていた。走っている間、1700回以上もターンをしなければならなかったことも辛かった。長年走っている人でなければ怪我をしてしまうような挑戦。そして、さらなる試練は退屈さと単調さを乗り越える心理的な壁だった。
しかし、持久力を必要とするスポーツ、特にマラソンの経験が豊富なダットさんは、このような環境の中でも6時間22分というタイムで42.8kmを走り切った。「フルマラソンを走ったことのある人なら誰でも、忍耐さえあれば走れると思います。経験の浅い人なら、30分間の運動に相当する3~5kmも走ることができれば十分にすごいですよ」とダットさん。