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観客が目を逸らしそうになるほど身体を張った技を披露した大道芸人は、スポットライトが消えると哀愁が漂う日常生活に戻る。
ステージに音楽が鳴り響く中、大道芸人のグエン・バン・ホアンさん(男性・34歳)は、体勢を整えてひとつ大きな声をあげると左の鼻の穴にヘビを入れ始めた。観客が息をのんで見守る中、あっという間に蛇の頭が男性の口の奥から出てきた。今度は右の鼻にもう1匹ヘビを入れる。観客が顔を背けようとする頃には両方の鼻の穴を通って2匹のヘビが口から顔を出し、男性が両手でヘビの頭を摘まんでみせた。
次に、水で満たされた2つの大きなバケツに繋がれたフックを自分のまぶたに留めた。体勢を整え直立すると、そっとバケツを持ちあげた。まぶたはバケツの重さで引っ張られて前後左右に動いている。さらには7本の剣を飲み込むと、観客は唖然とするばかりだ。
我に返った観客から大きな拍手を送られ、男性が身に着けていた小道具を外し元の姿に戻ると、安堵した観客は大歓声をあげた。芸を終えた男性の目や鼻は赤く、体中汗びっしょりだが、男性は威勢のいい声で自己紹介をした。「私は曲芸のホアン・タンこと、グエン・バン・ホアンです」。
南部メコンデルタ地方ロンアン省カンズオック郡ミーロック村(xa My Loc, huyen Can Giuoc)で、ある家族の父親の100日の法要で曲芸を披露し終わりステージを下りたタンさんの姿は平凡で哀愁を帯びていた。