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祖父と父が交通分野の科学者、母が金融分野を専門とする家庭に生まれたフンさんは、幼いころから海洋科学と生物学が好きだった。5歳の頃には家族で日本へ渡り、毎日母に図書館へ連れて行ってもらった。母は英語の本を借りてはベトナム語に訳し、フンさんに読み方を教えた。さらに、どの本も1日3回は読み、1週間に3冊、休日には10冊の本をむようフンさんに言った。そのうち、フンさんは読書好きの少年になっていった。
小学校2年生の時にベトナムへ帰国してハノイ市のインターナショナルスクールへ編入すると、フンさんは恐竜と無脊椎動物に魅了された。大学から修士課程、博士課程へと進学すると、興味は微生物や藻類へと移っていった。学士を取得したクイーンズランド大学では遺伝子学を専攻し、卒業論文ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌における抗生物質耐性遺伝子の水平伝播に関する研究をまとめた。
遺伝子学研究の傍らで生物学も探究し続けた。「研究者にとって柔軟性が大切だと分かったので、多分野を研究することで自分の技術や能力を高めようと決めたんです。海洋学の学会へも参加しましたし、プログラミングや統計学も学びました。これまで学んできたことが大きな価値を持ち、私の研究の中で相互に補い助けてくれています」とフンさん。
修士課程ではマッコーリー大学で真珠貝の病気に対する反応を研究した。そして、オーストラリアの名門大学3校で奨学金を得て博士課程の研究ができるチャンスに恵まれたが、いずれも辞退しニューサウスウェールズ大学で研究を続けることにした。