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兄弟は音楽に夢中になるあまり、自分たちで楽器を作ってしまった。バオ君はベッドの下から円形の金属製ビスケット箱で作ったギターを引っ張り出すと、「これは壊れて田んぼに捨てられていたギターを拾って来て作り直したギターで、弦には釣り糸を使っています。ドラムを買うお金もないので、ビールの空き缶でドラムを自作しました」と話してくれた。
2013年、兄弟の家族に悲しい出来事が起きた。バオ君が小学校3年生、フォン君が小学校1年生の時だ。家計を支えていた父のフイン・バン・ブーさんが事故に遭い、一命を取りとめたものの外傷性脳損傷により回復の望みのない植物状態になってしまった。
ブーさんを見舞いに来た人は、あどけない2人の兄弟がござの上に座り、自作のギターとドラムを演奏しながら、父の肩をゆすって「お父さん、僕たちの演奏はすごい?お父さん、笑ってよ」と話しかけているのを目にした。兄弟を哀れんだ人々は、2人が演奏によって家計を支えることができるようにと、キーボードとドラムを買うための資金を寄付した。
2人は一度も本物のキーボードとドラムに触れたことがなく、ド・レ・ミなどの音符も教わったことがなかったが、わずか数か月であっという間に楽器を扱えるようになった。「僕たちはテレビ番組と携帯電話で音楽を聴いて、それを真似して同じように演奏します。最初は少し難しいですが、しばらくすれば覚えられます」とフォン君。