(C) Dan Tri, ゾーさん(中央)と子供たち 写真の拡大 |
毎日長い道のりを学校へ行くだけでも大変なのに、買い物、食事の支度、洗い物に洗濯、子供たちの風呂の世話など、あらゆる家事を一人でこなさなければならない。朝早くから起きて洗濯と水汲みをし、子供たちを学校に行かせると、食材を買い出しに市場へ行き、昼食の準備。彼女が学校に行くのは午後からで、学校から戻るとすぐ夕食の支度、という生活だ。時間があるときは子供たちに文字を教えている。11歳にして、彼女は姉であり、母親であり、先生でもあるのだ。
学校には遠方から通う児童のための寄宿舎もあるのだが、子供たちの面倒を見なければならない彼女は入ることができない。両親の住む村落はかなり遠く、会えるのは月に1~2回だという。食べるものにも事欠くことがあり、「時には森に入って山菜を取って食べます。塩とご飯だけしかないこともあるんですよ」とゾーさんは言う。
文房具や本を買うのにも苦労している彼女だが、学校の成績は優秀だ。担任の先生によると、彼女は飲み込みが早く、大変な努力家で、特に数学と英語の成績に秀でているという。そのため、最近彼女へ200万ドン(約9600円)の奨学金が支給されることが決まり、引き続き中学校へ通えるようになった。学校側も、彼女が学業を続けられるよう、できる限り手助けをしていくという。
遊びたい盛りの11歳にして、彼女は立派に学業と母親役を両立させている。ベトナムは経済発展しているとはいえ、山岳地帯の生活はまだまだ貧しい。彼女の努力が実を結び、明るい未来が待っていることを祈ってやまない。