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1970年代から1990年代はじめにかけて、東南部ドンナイ省ニョンチャック地区を舞台に悪名を馳せた強盗団があった。強盗団を率いていたかつての女首領タム・ルイは今、地元のニョンチャック郡で家畜を飼育しながら暮らしている。そう言われなければ、この75歳の女性が強盗団の首領だったとは誰も思わないだろう。ただ、その鋭い眼光や頭の回転の速さに接すれば、初めて会った人でも恐れをなすかもしれない。
通称タム・ルイの本名はチャン・ティ・リエウ。父親のチャン・バン・ロップも強盗だった。リエウは20歳の時に結婚し、その後15人の子を設けた。生活の貧しさと博打好きの性格は、リエウに父親の「家業」を継がせることになった
通称のタム・ルイはリエウの夫グエン・タイン・リエムさんの別名だ。リエムさんは気が優しく強盗団には関わっていなかったが、リエウは夫の別名を名乗って強盗団を結成した。手足になったのは自分の子供たちや一族郎党の25人。戦争後に残されていた銃・弾薬や刀剣などの武器を使用した。