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2010年末にハノイ市で開催された2010年優秀市民賞表彰式で、ベトナム航空のヘリテッジ誌の編集者であるチャン・マイ・アインさんが慈善部門で優秀市民賞を受賞した。
アインさんは3年前、南中部クアンナム省で生まれて間もない頃に実母に山に捨てられ、獣に片足と生殖器を食べられた1歳の男児についての記事を読んで、ベトナム父母向けのオンライン掲示板・ウェブチェトー(www.webtretho.com)のチャリティークラブと一緒に、ハノイ市からクアンナム省まで幼児に会いに行き、支援金を贈った。
男児は同省の僧侶に助けられティエン・ニャンと名づけられた。ニャンちゃんは暫くの間、寺で僧侶たちに面倒を見られていたが、ニャンちゃんの存在を娘(ニャンちゃんの実母)から聞いた祖父母が寺を訪ね、ニャンちゃんを引き取った。
ニャンちゃんのことが気になったアインさんは、山岳部にあるニャンちゃん祖父母の家を訪ねた。そこでアインさんは、食べ物を探そうと必死に床を這い回っているニャンちゃんを目にした。ハノイ市に帰ってもその可哀想な姿がアインさんの脳裏から離れず、ニャンちゃんを引き取り、治療を受けさせようと夫のギンさんに相談した。するとギンさんも快く同意してくれた。夫だけではなく、マイさんの実母も義母もニャンちゃんを引き取ることに賛成した。
アインさん夫婦は子宝に恵まれないわけでも、慈善活動を行う人によくいるような金持ちでもない。夫婦2人とも編集者で息子が2人いるごく一般的な家庭だ。アインさん夫婦は2人も同じ職種のせいか、考え方が似ているところがあり、ニャンちゃんの受け入れについても、ギンさんは反対する理由は何一つなかった。アインさん夫婦の実息2人もニャンちゃんをとても可愛がっている。
当初、ニャンちゃんは歩くことさえできず排泄も一苦労だった。ニャンちゃんが人らしい生活が送れるようにと、アイン夫婦は財産を売ってお金を工面し、国内外の友人にも支援を募り、ベトナム、タイ、シンガポール、アメリカの病院14か所でニャンちゃんの治療をおこなった。現在、4歳になるニャンちゃんの尿道も正常に機能し、義足を使って歩けるようになった。しかし、アインさんは、ニャンちゃんが将来、普通の男性のように結婚し子どもを授かることができないと考えるとアインさんは涙が止まらない。
それでも、彼女は諦めることなくニャンちゃんのリハビリを続けている。またニャンちゃんは定期的に男性ホルモン注射を受けており、近いうちに睾丸の移植を受ける予定だという。