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- TikTokライブで給料や業務内容を説明
- 視聴者からの質問にMCが逐次生回答
- 中国でも一般的かつ効果的な採用チャネル
若い世代の関心を惹くために、自社の採用活動にティックトック(TikTok)のライブ配信を採り入れ、給料や社会保険、業務内容などを「生」回答する企業が現れている。
東北部地方バクザン省バンチュン工業団地で活動する、米アップル社(Apple)のサプライヤーである中国ラックスシェア(LuxShare=立訊精密工業)傘下のラックスシェアICT(LuxShare ICT)の人事部はその日、来るライブ配信に向けて、広さ20m2の部屋で、照明、パソコン、インターネット回線などのチェックをいそいそと進めていた。
予定の19時30分にライブ配信が始まると、10分も経たないうちに、「未経験でも働けますか?」「バイクを持っていないのですが、送迎バスはありますか?」「中国語はできませんが、工場労働者として働けますか?」といった質問が次々となされ、それにMCが逐次答えていく。
舞台裏では、同社人事部で4年働くマインさんが、黙って配信の様子を眺めていた。必要に応じてMCをサポートするのが、マインさんの役目だ。
マインさんは、この「ライブ採用」のために中国で2週間ほどトレーニングを受けた。照明、マイクなどライブ配信に必要な機器の使い方や、明瞭かつスピーディーな話し方の特訓を受けた。ライブコマースの配信も多数見て、視聴者の質問に対する答え方や、配信の盛り上げ方を覚えた。
「通常の面接とは違って、ライブ配信だと画面越しで話すことになり、質問も、都度答えていく形になります。重要なのは、採用に関する情報、方針をこちら側が十分に把握し、視聴者ときちんとやり取りをして、フォロワーやハートの数を増やすことです」とマインさんは言う。
同社は同省内に2つの工場を持ち、受注が安定して増加傾向にあることから、1~3月期のみで1000~2000人の採用が必要になっている。こうした中、ベトナムの若者にティックトックが人気で、仕事探しのツールとしても使われており、中国でも一般的かつ効果的な採用チャネルとなっていることから、同社でも導入したという。
今はまだ、担当者も配信の経験を積む段階だが、将来的には、人工知能(AI)なども活用して、視聴者からの質問に答えるようにしていきたいという。