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ハノイ市ロンビエン区ベトフン都市区で14日午後6時半ごろ、同都市区に住むN・T・P君(7歳)が身代金目的で誘拐される事件が発生した。
自転車に乗っていたP君を無理やり乗用車に乗せるという大胆な犯行だったため、同市警察は200人を動員して捜査にあたり、わずか数時間で犯人のグエン・ドゥック・チュン容疑者(男・31歳)を逮捕した。
事前に犯行を計画していた容疑者は、富裕層が多く、庭付き一戸建てが建ち並ぶ同都市区に目をつけ、ゴム弾や手袋、粘着テープなどを用意した。事件当日の夕方、車を運転しながら標的を物色し、自宅の前で自転車で遊んでいたP君を見つけ、P君を車の中に引きずり込んで逃走した。
P君から親の電話番号を聞きだすと、電話をかけて身代金150億VND(約9100万円)を要求し、「支払わなければ息子の命はない」と脅迫した。
P君の両親は警察に通報し、警察の指示に従って行動した。複数回の電話交渉を経て、容疑者は身代金を130億VND(約7900万円)に引き下げることに同意した。
130億VNDの現金を用意したP君の母親は容疑者の指示に従い、1人で車を3時間運転して、受け渡し場所に指定された北部紅河デルタ地方ハナム省ドンバン町のドンバン工業団地の取付道路に到着した。
翌15日午前5時ごろに身代金を受け取りに現れた容疑者は、現金の入ったリュックサックを受け取った後、「息子は後で解放する」と言い、P君も同乗していた車で現場から立ち去ろうとした。しかし、母親はボンネットに飛び乗って「息子を取り戻す」と断固とした態度を示し、容疑者の車の中からP君を無事保護した。
容疑者は逃走を続けようとしたが、張り込んでいた警察官らに取り押さえられた。その際に警察官1人が容疑者に撃たれて大腿部を負傷した。
これまでの捜査結果によると、容疑者は無職で借金を抱えており、P君一家とは顔見知りではないという。