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南部メコンデルタ地方アンザン省ロンスエン市の住民にとって、両脚の不自由な女性が手にサンダルを付け、口には宝くじをクリップ止めした鉄の棒を口にくわえて、中心部の道路を這い回る姿は見慣れたものになっている。
この女性は同地方キエンザン省ラックザー市出身のフイン・ティ・ビック・トゥエンさん(45歳)だ。1歳の時、ポリオウイルスに感染し、両脚が萎縮して変形してしまった。10歳の時、家族に連れて行ってもらった地元の漢方医で、手足を切断され、全身が麻痺した子どもたちと出会った。「生まれて初めて、自分は幸運だと感じました。少なくとも自分は這うことができるのだから」とトゥエンさん。
トゥエンさんは28歳の時、近所に住む男性と結婚したが、2人の娘を授かった後に離婚した。その後、キエンザン省タンヒエップ郡で父親と暮らし、宝くじ売りで生計を立てていた。2021年に、家から43km離れたアンザン省ロンスエン市で宝くじを売り始めた。鉄の棒をくわえているので顎が疲れ、1日に2度しか食事を取れないことや、手袋やひざに穴が開きやすいことなど苦労が多い。
路上カフェの主人であるバンさんは、数か月前にこんな場面を目撃した。高齢男性が車を止めてトゥエンさんに施しとしてお金を渡そうとしたが、彼女は感謝しただけでお金を受け取らなかった。男性は3回拒否された後、トゥエンさんから宝くじを購入した。トゥエンさんは、「自分の仕事は他の人と同じ。違うのは歩くことだけで、人の助けを受ける理由はありません」と話したという。バンさんは、トゥエンさんの楽観的で高い自尊心に感服している。