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南中部高原地方ダクラク省クークイン郡(huyen Cu Kuin)で11日早朝、小銃などで武装した2つのグループが、エアティエウ村(xa Ea Tieu)とエアクトゥル村(xa Ea Ktur)にある共産党委員会や人民評議会、人民委員会の庁舎を併設した施設を同時に襲撃した事件を背景に、在外ベトナム人が率いる在外反政府組織「ベトナム更新革命党(ベトタン=Viet Tan=越新)」をはじめとする反政府組織がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じてデマを流布して国民を不安に陥れたり、国の政策や当局の対応を歪曲したりするなどして心理戦を展開している。
同事件をめぐり、反政府組織らは「事件の原因は地元当局が住民の土地を違法に収用したことにある」などと偽りの理論を作り出し、ダクラク省の地元当局を批判する方向に世論を誘導しているようだ。SNS上には合成の動画や画像、事実無根の情報が大量に投稿され、憶測などのコメントが続出している。
当局は国民に対し、インターネットなどでニュースや記事、写真、動画を閲覧したり、共有したりする前に、そのウェブサイトやアカウントの信頼性や合法性をよく確認するよう勧告している。同事件をめぐり、事実でない情報を投稿した複数人が特定され、罰金処分を受けている。
同事件では、複数の警察官や公務員、住民らが襲われ、このうちエアティエウ村とエアクトゥル村の警察官4人、エアティエウ村のグエン・バン・ズン共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席、エアクトゥル村のグエン・バン・キエン共産党委員会書記 兼 人民評議会主席の計6人(いずれも男性)が殉職した。さらに地元住民3人が殺害され、警察官2人が重傷を負った。人質にされた住民3人のうち、2人は警察によって救出され、1人は自力で脱出した。
これまでの捜査によると、ダクラク省と南中部高原地方ザライ省在住の50人以上の容疑者らは海外移住と金銭の支給を交換条件として、クークイン郡の畑にある小屋に集合した。容疑者らは小銃や刃物、火炎瓶、手榴弾などを渡され、11日午前1時ごろに2つのグループに分かれてエアティエウ村とエアクトゥル村の庁舎を同時に襲撃した。庁舎内に押し入ると、銃や手榴弾で攻撃し、火炎瓶で施設を放火した。容疑者らはその後、外に移動し、路上で通行人を小銃や刃物、火炎瓶で殺害した。
14日午後までに逮捕者は47人に増えた。容疑者の大半は当局者によって逮捕され、残りは自首した、または地元住民によって身柄を拘束されて当局に移された。
当局は引き続き逃走した残りの容疑者の行方を追っている。
なお、南中部高原地方は、少数民族による反政府組織「フルロ(FULRO=Front Unifie pour la Lutte des Races Opprimes=被制圧民族闘争統一戦線)」の活動地域だったことで知られる。フルロは、少数民族が多い同地方で、独立運動を起こすべく1964年に結成された。
フルロは、ベトナム共和国(1955年~1975年に軍事境界線(北緯17度線:現在の北中部地方クアンチ省に位置)以南に存在した国家=南ベトナム)時代から独立を企てていたが、南北統一後も運動を続け、1992年に解散。組織のメンバーらは、難民として米国に移住したとされる。
その後、反政府組織「正義主張山岳地帯人民(Montagnards Stand For Justice=MSFJ)」が、フルロの元メンバーやその関係者とコネクションがある者らによって2019年に新たに結成され、現在も独立運動を続けているが、今回の事件との関連性は不明だ。