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南中部高原地方ダクラク省クークイン郡(huyen Cu Kuin)で11日早朝、ライフルなどで武装した2つのグループが、エアティエウ村(xa Ea Tieu)とエアクトゥル村(xa Ea Ktur)にある共産党委員会や人民評議会、人民委員会の庁舎を併設した施設を同時に襲撃した。
同事件では、複数の警察官や公務員、住民らが襲われ、このうちエアティエウ村とエアクトゥル村の警察官4人(男性・29~42歳)が殉職。公安省と同省警察は、12日昼頃までに襲撃に参加した容疑者26人を逮捕し、人質にされた住民2人を救出。同じく人質にされた住民1人が自力で脱出した。
トー・ラム公安相は、殉職した警察官4人の昇進を決定。これにより、残された遺族には適切な制度が適用されることになった。
当局は、犠牲者の遺族と負傷者の慰問を行うと共に、逃走した残りの容疑者の行方を追っている。当局は住民に対し、警戒を強め、最寄りの警察に容疑者らの情報を提供するよう要請。また報道機関に対しては、情報の信ぴょう性を確認し、報道前に十分検証するよう求めている。
南中部高原地方は、少数民族による反政府組織「フルロ(FULRO=Front Unifie pour la Lutte des Races Opprimes=被制圧民族闘争統一戦線)」の活動地域だったことで知られる。フルロは、少数民族が多い同地方で、独立運動を起こすべく1964年に結成された。
フルロは、ベトナム共和国(1955年~1975年に軍事境界線(北緯17度線:現在の北中部地方クアンチ省に位置)以南に存在した国家)時代から独立を企てていたが、南北統一後も運動を続け、1992年に解散。組織のメンバーらは、難民として米国に移住したとされる。
その後、反政府組織「正義主張山岳地帯人民(Montagnards Stand For Justice=MSFJ)」が、フルロの元メンバーやその関係者とコネクションがある者らによって2019年に新たに結成され、現在も独立運動を続けている。
なお、ホーチミン市日本国総領事館は12日、今回のダクラク省庁舎襲撃事件を受けて、在留邦人らに対し、注意喚起を促している。