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10月31日にフランスで行われる予定だった阮(グエン)朝の金印の競売が、ベトナムからの抗議を受けて本番直前の同日午前に中止された。
フランス・パリのオークションハウス「ミロン(Millon)」はこれに先立ち、ベトナムの最後の王朝である阮朝(1802~1945年)の金印と金椀を競売にかけると発表した。このうち、金印は200万~300万EUR(約2億9000万~4億4000万円)で売却される見通しだった。
この金印は、阮朝第2代皇帝ミンマン(明命)帝(在位:1820~1841年)が在位中の1823年に鋳造されたもので、重さは10.8kg。
阮朝の子孫を代表するグエンフック族評議会はミロンに対し、阮朝に由来する国宝級の重要遺物2点の競売を中止するよう求める文書を送付した。さらに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領宛てにも請願書を送付し、介入を要請した。
グエンフック族評議会の議長を務めるグエン・フオック・ブウ・ナム博士は請願書の中で、「金印は阮朝の皇帝から皇帝へと受け継がれたものであり、最後の皇帝であるバオダイ(保大)帝(在位:1926~1945年)の私物ではないため、個人が譲渡する権利は持たない」と記し、阮朝の子孫から成るグエンフック族評議会は王朝の権利と義務を正式に継承する組織だとした。
金印はバオダイ帝が保管し、死後は最後の妻であるフランス人のモニーク・ボードー(Monique Baudot)さんが保管していたが、彼女が2021年に死去した後にそれを手にした遺族が違法に売りさばこうとしているとした上で、「金印と金椀はいずれもバオダイ帝が所有していたものではない、ベトナムの国宝級の重要遺物だ。ボードーさんの遺族が相続に関する書類を提出できたとしても合法的なものではなく、ユネスコの1970年の文化財不法輸出入等禁止条約にも違反する」と主張した。なお、バオダイ帝とボードーさんの間には子供がいなかった。
グエンフック族評議会はマクロン大統領に対し、当局による調査が行われるまでの間、大統領の権力を行使し、ミロンに同2件の競売を中止させるよう要請した。
文化スポーツ観光省は外務省をはじめとする機関や組織、個人と協力し、金印を早期に国に戻すべく各種リソースを動員して方策を探っている。