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様々な病気をもたらし、田畑を荒らすネズミ。忌み嫌われ、駆除されるべき害獣という認識が一般的だが、北中部地方ゲアン省の稲作地帯イエンタイン郡(huyen Yen Thanh)では、少し見方が違う。
この地域は昔から野ネズミ料理で知られ、ネズミ肉が人々の好物、特産品となっているだけに、ネズミを捕まえ販売することで、多くの人がかなりの収入を得ている。
雨の時季になると、田畑に水が出る。すると野ネズミは高い土地に逃げたり、穴にもぐったりする。その時が、ネズミ捕り達の出番だ。
道具は、鍬とバケツとネズミを入れる袋が定番だが、今は罠を仕掛けるなどして、捕獲エリアも広がっている。効果的に捕獲するには、習性を知らねばならない。ネズミ捕りの「収穫期」は7~10月頃、人々のかなりの稼ぎになるとともに、田畑の収穫を守ることにもつながる。
ネズミ捕りに出かけること1日、トアさん夫妻は約80kg分を捕らえ、1kgあたり3万VND(約180円)で売った。ガソリン代その他費用を差っ引いて、約200万VND(約1万2000円)の収入となった。「簡単そうに見えますが、結構大変なんですよ。夜中に罠を仕掛けに行くこともありますし。以前は自分たちで食べるだけでしたが、今は買い取ってくれる業者があるので、収入を得る手段となりました」とトアさんは言う。
フオンさんは、友人とお金を出し合ってネズミ捕りの道具を揃えた。稲刈りの時季の後に、ネズミは多くの子供を産む。日中は、鍬を使って掘ったり、巣に水を流し込んでネズミが出てきたところを捕えたりし、夜は罠を張る。
トアさんらのグループは、1日に3人合計で100kgほどのネズミを捕るという。費用を差し引いて、稼ぎは各人100万VND(約6000円)近く。ネズミ捕りは時期的なものであるだけに、この時期に頑張って働き、家計の足しにしているそうだ。
同郡でネズミ買取り業をするタンさんによると、この時期は忙しく、雨や洪水の後には特に買い取る量が増える。1日に持ち込まれる量は1tほどにもなり、仕入れたネズミは北部各地に卸しているそうだ。