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過去20年で最大規模とされた台風4号(アジア名:ノルー、日本では台風16号)では、中部地方を中心に道路の冠水や倒木、家屋の屋根が吹き飛ばされるなどの被害が出て、各地に大きな爪痕を残した。世界遺産の古都ホイアン(南中部沿岸地方クアンナム省)では、ちょうど台風到来のタイミングに訪れていた観光客らが、台風一過で「水の都」と化した旧市街地をボートやレンタル自転車で回って、珍しい景色を堪能していた。
台風4号は28日午後にはベトナムを通り過ぎたが、27日夜から28日朝にかけて大雨を降らせ、ホイアン旧市街を流れるホアイ川の水位が上昇。これにより、◇グエンタイホック(Nguyen Thai Hoc)通り、◇バクダン(Bach Dang)通り、◇チャンフー(Tran Phu)通りなど旧市街の通りが冠水した。来遠橋(日本橋:Chua Cau)周辺の歩道は1m近くも冠水し、人々はボートに乗って移動しなければならなかった。
地元当局は、地域住民と観光客の安全を確保すべく、冠水が酷い各地区に交通規制の標識を設置。しかし、「水の都」と化したホイアンに外国人観光客らは興奮し、タイヤ半分が水に浸かった状態でレンタル自転車に乗ったり、水没した旧市街をボートで回ったりして、この時期にしか見られないホイアンの姿を満喫していた。
毎年、雨季や台風シーズンのたびに水没しているホイアンだが、特に台風特需とも言える恩恵を受けているのがボート業者だ。旧市街で手漕ぎボートツアー業を営むCさんは、「毎年この時期は外国人観光客にとって魅力的なツアーになる。おかげで我々ボート乗りは失業せずに済んでいる。冠水している日は1日当たり平均100万VND(約6060円)の稼ぎになる」と話した。
ホイアン市当局は、冠水の状況下での手漕ぎボートサービスやレンタル自転車の貸し出しについて、安全性に問題があり、違法行為であると再三指摘しているが、外国人観光客からの需要が高いため、業者が無断で操業を続けているのが現状だ。