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韓国のソウル中央地方裁判所で9日、ベトナム戦争時の韓国軍による虐殺を巡る裁判が行われ、韓国の法廷では初となるベトナム人による目撃証言が行われた。
この日は韓国軍海兵隊第2旅団(青龍部隊)の軍人が、ベトナム南中部沿岸地方クアンナム省フォンニ集落(lang Phong Nhi、現在のディエンバン町ディエンアン街区=phuong Dien An, thi xa Dien Ban)の住民74人を殺害したとされる、いわゆるフォンニの虐殺について、南ベトナム軍に所属していたグエン・ドゥック・チョイさん(82歳)に対する証人尋問が行われた。
この訴訟はフォンニ事件の被害者、グエン・ティ・タインさん(62歳)が韓国政府に対し、3000万ウォン(約304万円)の損害賠償を求めて2020年4月に提起したものだ。事件当時8歳だったタインさんはこの事件で家族5人を失ったほか、本人も韓国軍から脇腹を銃で撃たれ今も後遺症を患っている。これに対し韓国政府は、事実を否認している。
法廷でタインさんのおじにあたるチョイさんは1968年2月12日、フォンニ事件を目撃したと証言。チョイさんによると当時、現場には数十の遺体がところどころに積み上がり、多くの家が燃えていたという。当時の村の地図上で、多くの遺体が発見された場所を指し示すなど具体的な言及もあった。
裁判に先立ち行われた記者会見で、被害者側のイム・ジェソン弁護士は「韓国軍は事件を起こしたのが韓国の軍服を着た南ベトナム軍だとして責任を回避してきたが、その後、村の住民がベトナムの議会にこれを抗議するなどして問題が大きくなった。さらに当時の韓国政府が事件を調査したが、その資料を提出していない。被害者と支援者が証拠を集めており、これが裁判で認められるよう努力している」と話した。