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世界で最も権威ある科学雑誌のひとつ「ネイチャー・コミュニケーションズ(NatureCommunications)」は先月、ベトナム人博士ディン・スアン・ホアンさん(37歳)による重要な研究を発表した。
ホアンさんは、世界の食糧生産を10%減少させる「さび病」から、小麦や大麦などの作物を守る遺伝子を発見した。彼がオーストラリア・シドニー大学の大学院で学んで3年目のときに発見したもので、世界のデータバンクにも存在しない遺伝子だった。
「通常は不活性で植物のエネルギーを使用せず、植物がさび病に襲われた時にしか活動しないというまったく新しいものでした。これが、私たちの研究が興味深く、こうして雑誌にも取り上げられた理由です」とホアンさんは話す。
ホアンさんを指導したRobert F. Park教授は、彼の研究は植物が病気から身を守る方法を知るための重要な発見だとし、またメルボルン大学の作物遺伝学の上級講師Mohammad Pourkheirandish博士は、さび病は、世界の穀物生産に大きな被害を与える病気であるため、耐性を持つ品種を使うことが、経済的にも生態系にも最も効果的だとしている。ホアンさんらの研究結果に基づき、病気に強い品種が生み出されることが期待される。
北部紅河デルタ地方ニンビン省の農家に生まれ、農家の大変さを目の当たりにしたことで、何か有益な研究をしたいと考えるようになったホアンさん。現在はオーストラリアでの研究を終えて、引き続き奨学金を得て、先月から日本の筑波大学で研究を行っている。