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ハノイ市人民委員会傘下のハノイ下水排水社(Hanoi Sewerage And Drainage)が、市内の湖水浄化処理のためとして競売入札を行わずに市トップらの裏会社から水処理薬品を高価格で購入した汚職事件で、同市共産党委員会前副書記 兼 同市人民委員会前主席のグエン・ドゥック・チュン容疑者(男・54歳)の関与が明らかになった。
公安省傘下の密輸経済汚職犯罪捜査警察局(C03)が17日に明らかにした。チュン容疑者は刑事法第356条に抵触し、公務執行にあたり役職・権限を乱用した疑いが持たれている。
これまでの報道によると、ハノイ下水排水社は2016年~2019年までの間に、市内の湖141か所以上の湖水浄化処理のためとして、競売入札を行わず、チュン容疑者と関係があるArktic社から水処理薬品「Redoxy-3C」400t以上を1370億VND(約6億5000万円)で購入し、国に大きな損失をもたらしたという。
ハノイ下水排水社は、ドイツのウォッチ・ウォーター社(Watch Water)に市内の湖の視察・分析を依頼した後、専用の水処理薬品の製造も依頼したが、ウォッチ・ウォーター社から直接購入せず、Arktic社を介して購入したことが確認されている。購入価格は水増しされ、市に410億VND(約1億9300万円)の損失をもたらしたとされる。
チュン容疑者は、携帯電話小売チェーン「ニャットクオン・モバイル(Nhat Cuong Mobile)」を運営するニャットクオン貿易・技術サービス(Nhat Cuong Trading & Technical Services)の密輸密売事件にも関与している。
さらに事件の捜査が行われている間、チュン容疑者は捜査の担当機関に所属していた元警察官などの側近らに捜査書類を盗み出させていた。この捜査書類を漏洩・略奪・売買した事件で、チュン容疑者は2020年12月に非公開裁判で禁固5年の判決を言い渡された。