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暗号資産(仮想通貨)に関する規定が整備されていないベトナムでも近年、ICO活動(イニシャル・コイン・オフファリング=仮想通貨発行による資金調達)が盛んに行われているが、警察関係者はこれについて「完全なる違法である」として、国民に対し注意を呼び掛けている。
ホーチミン市密輸汚職経済犯罪取締警察部のグエン・ナム・ハオ少佐によると、現行法ではICO活動が一切認められていないにもかかわらず、マルチ商法も含めて仮想通貨への投資を勧誘する詐欺グループが数多く存在するという。
仮想通貨はベトナム国内で決済手段としても認められておらず、金融分野の行政処分に関する政令第96号/2014/ND-CPでは、違法な決済手段(仮想通貨を含む)の発行・供給・使用に対し、1億5000万~2億VND(約70万~93万円)の罰金を科すと規定している。
また、刑事法第206条には、違法な決済手段の発行・供給・使用について刑事責任を追及する可能性があるとも記されている。
なお、ホーチミン市では5月中旬に実業家一家が拉致されて350億VND(1億6300万円)が奪われる事件が発生したが、この事件も仮想通貨への投資詐欺が発端だったことが、後の調べで明らかとなった。
犯人の男らは、仮想通貨投資で実業家男性から詐欺被害に遭ったため、お金を奪い返しただけだと主張している。この実業家男性は「Pincoin」や「Ifan」と呼ばれる仮想通貨のICO向け投資を勧誘し、全国各地の人々から多額の金銭を騙し取ったとされている。