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当局が取り締まりを強化している中をすり抜けて、現在も中国との国境の地域では人身売買が横行している。妊婦が出産前からお腹の中の胎児の売買取引をするケースも珍しくない。
北中部地方ゲアン省キーソン郡フウキエム村(xa Huu Kiem, huyen Ky Son)に住むホアさんは妊娠8か月になる。お腹の子は第2子だが、家の中には他に子供の姿はなく、記者が「上の子供は?」とたずねると、ホアさんは両手を見つめて頭を振った。
ホアさんが見つめる先の庭には新品のバイクが置かれている。ホアさん夫妻にとって木造の簡素な家とこのバイクが唯一の財産だ。
少数民族コム族のホアさんはまだ思春期の頃に同じコム族の男性と結婚した。地域の他の男性がそうであるようにホアさんの夫も酒に溺れ、ホアさんが畑仕事をし、山に入りタケノコや薪を取り生計を立てていた。
第1子を身ごもり8か月目に入った頃、同じ村の女がホアさんに人身売買を持ち掛けた。数日後、ホアさんは荷物をまとめ女と共に村を出た。国道7号線で車に乗せられると、車内にはもう1人お腹の大きな妊婦がいた。
東北部地方クアンニン省モンカイ市に着くと中国人の男が待ち構えており、すぐに船に乗って川を上り中国との国境に向かった。国境に着いてからさらに3日かけてやっと取引の場所に到着し、用意された家に滞在した。食事は十分に与えられたが外出は許されなかった。出産日になると病院に連れて行かれ、数時間後に元気な男の子を出産。しかし、数秒後には赤ちゃんの姿は消えた。
出産から数日後、出産を終えたホアさんと女は国境まで連れて行かれ8000万VND(約37万円)が支払われた。ホアさんはすぐに受け取ったお金を手にバイクを買いに行ったという。
山深くに位置するフウキエム村にはコム族が多く暮らしている。ここ数年で20人以上の女性が国境を越え中国で出産し、生まれたばかりの我が子を売ったと言われている。