(C) tuoitre |
情報通信省傘下で携帯通信大手のモビフォン(MobiFone)が、デジタルテレビ放送サービスを提供する地場オーディオ・ビジュアル・グローバル(Audio Visual Global=AVG)株95%を購入し多額の公的資産損失をもたらした汚職事件で、ハノイ市人民裁判所は28日、被告14人に有罪判決を下した。
同事件は、AVGが企業価値評価で大幅に水増しされ、モビフォンが同社株95%を実質的な価値を大きく上回る価格で購入したというもの。
裁判所は、主犯格であり、「公的資金管理・使用に関する規定に違反し甚大な損害をもたらした罪」と「収賄罪」に問われていた元情報通信相(2011年~2016年任期)のグエン・バック・ソン被告(男・66歳)に16年の禁固刑と終身刑の判決をそれぞれ言い渡した。
裁判所は、ソン被告が革命功労者であることや、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム・ニャット・ブオン会長の実弟であるAVG元会長のファム・ニャット・ブー被告(男・47歳)から受け取った300万USD(約3億3000万円)の賄賂について同被告の家族が判決前に全額を国に払い戻したことを考慮し、情状酌量の余地があるとして検察側の求刑した死刑より軽い終身刑とした。
同じ罪に問われていた前情報通信相(2016年~2018年任期)のチュオン・ミン・トゥアン被告(男・59歳)は6年と8年の計14年の禁固刑を言い渡された。裁判所は、トゥアン被告が革命功労者であること、AVGからの資金回収を積極的に指導したこと、捜査に積極的に協力したことなどを考慮し、情状酌量の余地があるとの判断を示した。
モビフォン元会長 兼 社長のレ・ナム・チャー被告、元社長のカオ・ズイ・ハイ被告も同じ罪に問われており、それぞれ計23年、計14年の禁固刑をそれぞれ言い渡された。トゥアン被告、チャー被告、ハイ被告の3人がブー被告から受け取った賄賂については、判決前に家族が全額を国に払い戻している。
「公的資金管理・使用に関する規定に違反して甚大な損害をもたらした罪」に問われている同省の幹部、モビフォンの役員、信頼性の非常に低いAVGの企業価値評価をモビフォンに提供したAMAX評価投資コンサルティング(AMAX)の元社長・社員の計9人は2~5年の禁固刑をそれぞれ言い渡された。
このほか、「贈賄罪」に問われていたAVG元会長のブー被告は、量刑が禁固12~20年となる刑事法第364条第4項に触れたが、規定の量刑を大きく下回る3年の禁固刑を言い渡された。捜査に積極的に協力したこと、被害克服に真摯に取り組んだこと、仏教協会などの社会奉仕活動に大きく貢献したことが考慮されたためだ。
ブー被告をはじめ、モビフォンにAVG株を売却した者は、これまでにモビフォンから受け取った資金、これにより発生した利息、およびその他費用の全て(8兆7750億VND=約420億円)を払い戻している。