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ゾウの酷使や過労死が問題視されているなか、南中部高原地方ダクラク省ブオンドン郡では先のテト(旧正月)休暇にも多くのゾウが「象乗りツアー」に駆り出された。
同省には複数の観光スポットがあるが、ほとんどの観光客は「象乗りツアー」を目的に来ている。同郡のある観光区では15頭のゾウで3万人の客を運び、テト6日目も客を乗せて川沿いや森を何往復もしていた。
背中に3~4人の客を乗せたゾウは、疲労のためか足取りが重く森へ入りたがらないものもいる。しかしゾウ使いに先の尖った鉄の棒で耳の後ろを突かれると、重い足を森へと向けゆっくり歩き始める。
郡内の別の観光区ではテトに訪れた約7000人の観光客のうち60~70%が「象乗りツアー」を体験し、5頭のゾウが休みなく働いた。同省にはゾウが約40頭飼育されており、いずれも「象乗りツアー」が飼育者の収入源となっている。料金は1回20万VND(約995円)で、ゾウは客を乗せて1km程の距離を歩く。
ホーチミン市から来たという客は「一度だけ記念にと乗ってみましたが、ゾウがかわいそうなのでこの先もう乗ることはないでしょう」と話す。タイ人の客は、自国の自宅近くにある観光区ではゾウは森に放し飼いにされて、遠くから眺めるだけで乗ることは禁じられているため、同郡の「象乗りツアー」には衝撃を受けたという。
林業総局が先ごろ国内外の専門家らとゾウの保護や管理、「象乗りツアー」の制限について協議したほか、ダクラク省ゾウ保全センターはテト前にゾウの飼い主らにツアーを制限するよう指導する文書を送付し、テト期間中も各観光区を巡回し注意してきた。
しかし、飼い主らにとってはかき入れ時とあってツアーを中止する者はおらず、朝から夜まで客を取っていたという。同センターは今後、飼い主を1軒ずつ回りゾウの健康状態を確認すると共に、必要に応じて薬を投与する計画。