2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足し、形式的には一部の業種で労働者の移動が自由化された。しかしゾアン・マウ・ジエップ労働傷病兵社会次官によると、実行に移すにはまだ問題が多く残っており、当面は以前の規定に従うことになるという。
移動が自由化されたのは、◇会計士、◇建築士、◇技師、◇歯科医、◇医師、◇看護師、◇測量技師、◇観光士の8業種のレベルの高い専門職労働者で、ベトナムでは労働力人口のわずか1%にすぎず、国内の労働市場に及ぼす影響は短期的には大きくないとみられている。
職業訓練科学研究所の研究者は、労働者の移動には文化、言語、社会習慣、宗教などの問題のほか、各国の労働者の育成制度、評価や管理の方法などに違いがあり容易ではないと指摘する。
特に各国間で労働者の技能レベルの証明に信頼を形成することは、大きな課題になっている。AECが技能レベルについて共通の基準を持って公認し合う「相互承認協定(MRA)」を結ぶ必要があるが、各専門分野の省庁間での交渉はこれから始まるところだという。