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東北部タイグエン省タイグエン市フックスアン村在住の女性スアンさんは、右足の太腿に巨大な腫瘍があって、歩くことはおろか身動きすることさえままならない。年齢は40歳近いが、年老いた両親と共に暮らしている。
スアンさんは子供の頃は健康だったが、徐々に体が弱くなり、腫瘍が発症してからは終日痛みに耐えながら泣く毎日を送る。腫瘍は膨らみ続け、重さは20kg以上もある。取材中、涙を流しながら話す父親のティさんに、スアンさんは「お願いだから泣かないで」と頼み続けた。
ティさんは、1966年から1970年まで東南部の戦場で兵役に就いていた際に負傷した。その後、傷病兵年金と枯葉剤(ダイオキシン)被害の補償金を受けて、生活費を賄っている。スアンさんの治療に駆け回ったこともあったが、十分な治療費はない。今は、時に1日40本もの痛み止め注射を打ってしのいでいる。
フックスアン村の枯葉剤被害者協会は、スアンさんの症状が父親のティさんの受けた枯葉剤の影響によるものか結論が出ていないため、助けることができずにいる。