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ハノイ市ホアンキエム区で2020年2月にベトナム国立オペラバレエ団(VNOB)の副団長でオペラ歌手のブー・マイン・ズンさん(男性・当時42歳)が殺害された事件で、同市人民裁判所は21日、ズオン・クアン・ビン被告(男・44歳)に死刑判決を言い渡した。
ビン被告はズンさんの妻の兄。ズンさん夫妻は被告の隣の家に住んでおり、隣人同士でもあったが、ビン被告は薬物中毒者で、家族内では度々言い争いが起きていた。
被告は昨年2月18日夜、自宅で約0.5Lのお酒を飲んだ後、実父と妻、妹を大声で罵ると、妻のバイクからガソリンをこぼして火を放った。地元住民らが消火を試みている間に、被告は窓をよじ登ってズンさん宅に侵入し、抵抗するズンさんを刃物で殺害した。
被告は裁判で、ズンさん夫婦との間ではトラブルがなかったと主張し、「酒をたくさん飲んだため、何も覚えていない」と弁明した。しかし裁判所は、麻薬乱用の末に身内を殺害するという悪質な犯罪に走ったとして死刑判決を下した。
鑑定結果では、被告が結晶状の薬物を使用したことが原因で事件時に精神錯乱を起こしたことが確認された。被告は2007年に窃盗罪で処分を受けた前科がある。
なお、殺害されたズンさんは国から「優秀アーティスト(Nghe si uu tu=NSUT)」の称号を授与された国内トップクラスのバリトン歌手で、多くのオペラに出演していた。2015年2月には、ハノイ市民劇場(オペラハウス)で上演された沼尻竜典氏作曲のオペラ「竹取物語(Bamboo Princess)」で帝役として出演した。