ティエンザン省チョガオ県ソンビン村には数軒の「お触り」ビアホールが集中している。もっとも有名なのは、2004年12月にオープンした「フオン・クエン」。同店のオープン前、主人のS氏一家は貧乏ながらも夫婦仲は良く、S氏は一家を養うために雇われ仕事に出ていたが、夫の不在にS婦人は飲み屋を開業。
最初は2人の娘とともに飲み屋を営むだけであったが、次第に接客内容はエスカレート。現在、S婦人はキッチンを担当するとともに、ホステスのお触りぶりを監督している。「だんなさんがどうしてこんなことに同意したのか、わけがわからないわよ。たぶん飲み屋を開業したあたりからおかしくなってしまったんだろうけど」とは近所の住民の弁。
ソンビン村の人民委員会から100mほどのところにあるカラオケハウス「ホンフック」。ここでは昼間から5−6人のホステスが、片手はマイクを握りつつ、片手で客を「欲情」させる。ホステスたちは近隣のベンチェ省やアンザン省からつてで集まってきた海千山千の女たち。中でも移動「お触り」ビアホールで長い接客経験を持つ30歳半ばのPh嬢は、同店の名物だ。
カラオケバー「どじょうなべC.T.」を経営するR婦人の開店理由は夫への腹いせだ。ホステスの一人が明かすには、R婦人の妊娠中、R婦人の夫は態度を豹変させ、婦人に急に冷淡になったという。立腹したR婦人は、ある日夫の目の前で腹いせに男性客の胸に倒れこみ、ビールを一気飲み。それを見ても何も動じない夫を見て、どじょうなべ屋をいかがわしいカラオケバーにしてしまったという。
これらの「お触り」ビアホールは、公安に「違法接客行為」を理由に摘発されることもあるが、決定的な証拠が無く、摘発に至らないケースが大半。村民は幸せな家庭生活を自衛するため、夜は早々窓を閉めて寝るのが常だという。