![]() (C) ヤンマー株式会社 現地で竣工した実証船 ![]() |
ヤンマー株式会社(大阪市北区)は2日、カインホア省のニャチャン大学造船所にて、マグロ漁実証船の進水式を開催した。同社は、ニャチャン大学船舶研究所(UNINSHIP)の協力を得て、南中部沿岸地方のカインホア・フーイエン・ビンディンの3省で現地マグロ漁船の近代化プロジェクトに取り組んでいる。
ベトナムは世界第5位の水産物輸出国であり、国内には9万隻を超える漁船が操業しているが、その多くは木造漁船で、船舶推進効率が低く、また搭載しているエンジンも燃費が悪く、排ガス規制にも対応できていない。この3省では特にマグロ漁が盛んだが、漁獲法や保管技術が確立されていないためマグロの品質が低く、低価格で市場に出さざるを得ないのが現状だ。
こういったベトナム漁業の課題を踏まえ、同社は「手釣り漁業」により漁獲されたマグロの鮮度保持や品質改善に取り組み、マグロ漁業従事者の事業採算性の向上や漁船の省エネルギー化、マグロ鮮度の改善などを確立するためのプログラムの提案と実証実験を行っていく。
今回進水を果たした実証船は、全長18mで、船体構造はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製。出力350馬力クラスのヤンマー製クリーンディーゼルエンジンを搭載している。FRP船は比較的安価で、木造船に比べ軽くて丈夫なため、燃料費やメンテナンス費を節約できるという利点がある。
なお、同プロジェクトは、経済産業省の「地球温暖化対策技術普及推進事業」の採択候補にノミネートされており、今後同社は実証船を使って、二酸化炭素の削減効果に関するデータの取得も行う予定だという。