- 製造拠点を台湾から他国に移管する動き
- スペースXが台湾の地政学的リスク懸念
- ハナム工場は人員を2倍に拡充する計画
米国の航空宇宙メーカーであるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX=SpaceX)の複数サプライヤーが、地政学的リスクから新規注文について製造拠点を台湾からほかの国に移管する動きがあり、ベトナムがこの恩恵を享受する国の一つになると見られている。
製造拠点の移管はスペースXの要望によるものとされる。スペースXに部品を供給する台湾系ウィストロン・ネウェブ・コーポレーション(Wistron NeWeb Corporation=WNC)は、ベトナム北部紅河デルタ地方ハナム省の工場でスペースXの衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク(Starlink)」向けの設備部品生産を行っている。
ハナム工場は高まる需要に対応すべく、従業員数を現在の3000人から少なくとも2倍に増やす計画だ。
同じくスペースXのサプライヤーである台湾系ユニバーサル・マイクロウェイブ・テクノロジー(Universal Microwave Technology)とシェンマオ・テクノロジー(Shenmao Technology)も、ベトナム工場への投資を実施している。
スペースXのグローバルビジネス担当上級副会長のティム・ヒューズ氏は、9月に訪米したトー・ラム書記長 兼 国家主席(当時)との会見で、ベトナムは同社の衛星インターネットアクセスサービス開発計画において重要な潜在的市場であると評価し、近い将来、ベトナムに15億USD(約2300億円)を投資する計画があると述べた。