(C)Chinh Phu |
- 南北高速鉄道の投資総額は約9.8兆円
- 27年着工、35年の全区間開通目指す
- 全長1541km、20省・市を通過
ファム・ミン・チン首相は3日、南北高速鉄道プロジェクトを含む国家重点案件の実施について、関連機関や建設企業などを招いて会合を主催した。
この席で交通運輸省が南北高速鉄道プロジェクトについて報告。同プロジェクトは、全長1541kmで、20省・市を通過してハノイ市タインチー郡ゴックホイ村からホーチミン市直轄トゥードゥック市トゥーティエム街区までを結ぶ。設計時速は350km、軌間1435mmの標準軌となり、旅客駅23か所、貨物駅5か所を設置。2027年に着工し、2035年に全区間の開通を目指す。
同プロジェクトは、北京~上海間の高速鉄道と同等の規模となる見通し。北京~上海間の高速鉄道は、全長1318km、設計時速380km、24駅を設置している。
なお、南北高速鉄道の投資総額は約670億USD(約9兆8000億円)の見込み。党と政府は「債務のワナ」に陥らないよう、同プロジェクトを国家予算で賄う方針。12年にわたって資金配分し、1年当たり56億USD(約8200億円)を拠出する。
国家予算だけで資金を十分に確保できない場合、国内・海外向けの国債発行を行う可能性もある。ただし、海外から資金調達する場合は、ベトナムへの技術移転を必須条件とする。
国民1人当たりの国内総生産(GDP)は2023年時点で、4282USD(約63万円)となっており、2030年までに7500USD(約110万円)に増加すると見込まれる。また、2023年における公的債務対GDP比は37%の低い水準に収まっており、全国GDPは2027年までに5640億USD(約83兆円)に増加すると予想されている。
公的債務対GDP比が低い水準に収まることに加え、国の経済規模拡大や、国内建設企業の大規模案件実施に関する経験の蓄積と充実が見込める2027年は、同プロジェクトを着工するのに最適のタイミングと考えられている。