ホーチミン市では現在まさに新型コロナの影響で、飲食店などが閉店を余儀なくされ、ソーシャルディスタンスやリモートワークが推奨され、外出する機会が減少し、自宅で過ごす時間が増えています。そのような中、ベトナム消費者はどのようなことに時間を費やし、またコロナ収束後にはどのようなことをしたいと考えているのか、2021年6月に実施した直近のアンケート結果から考えていきたいと思います(サンプル数:969名)。
コロナ禍で時間を費やすようになったことは?
コロナの中、より増えている活動としては「料理」「動画閲覧」「オンライン学習」などが挙げられます。料理については、外食機会が限られることで、 Grab Food 、 Now 、 BAEMIN などの フードデリバリーの利用が増えている一方、経済的な観点から自炊機会が増えています 。そういった中、 Cooky や cookpad などの料理サイトも人気を集めているようです。また、動画閲覧については、 YouTube が圧倒的な人気を集める一方で、10代には Tik Tok などの人気も定着し、20代・30代女性の間では Netflix のような有料オンライン動画サービスの人気も高まっています。
性別毎にデータを見ると、 男性は「ゲーム」「動画閲覧」 などにより時間を費やしているのに対し、 女性は「オンラインショッピング」や「ソーシャルメディア」 などの利用時間が増えている傾向があります。特に「オンラインショッピング」においては、 今まで敬遠されていた食品や生活用品などの日用品のオンライン購入が増え 、オンラインで購入する商品のカテゴリー幅が一気に広まっています。
それでは、コロナが収束した後にやりたいことはどのようなことでしょうか。
アフターコロナにやりたいことは?
人気が高いのは「友人との外出」「買い物」「外食」 など、とにかく日常行っていた生活を取り戻したいという傾向が見てとれます。それ以外でも 「故郷を訪問する」という項目が高い のは、家族の絆の強いベトナム独特の特長と言えます。移動の自由が制限される中、故郷の家族・親戚に会いたいという需要は特に年配層で多く見られます。
年代別の違いの現れ
年代別に見てみると、10代の若者はとにかく「友人・知人と外出」したいという要望が多く、20代になってくると、そこに「買い物」「外食」などの具体的な活動が伴ってきます。30代以上で特に人気が高まっているのは「旅行」で、国内・海外を問わず1年以上制限されてきた旅行の楽しさを味わいたいという潜在的な需要の高さが現れています。
6月より発生したコロナ第4波の前までは、ベトナムの消費市場は強く回復傾向にあり、小売市場なども前年比2桁増の水準まで戻ってきていました。一方で、コロナ禍によって例えばフードデリバリーであったり、リモートワークに伴うビデオ会議であったりといった今までにないデジタルの力を借りたサービスが標準化してきています。コロナによってベトナムの商習慣のデジタル化も加速している点を実感せざるにはいられません。