人間は毎日歯磨きしないと虫歯になってしまいますが、動物たちは歯磨きしなくても大丈夫なのでしょうか? 今回は、 グルーミングサロン テンテン より、 ワンちゃんの歯 についてのお話です。
ワンちゃんの歯と人間の歯の違い
人間の歯とワンちゃんの歯には違いがあることをご存知ですか?
見た目は同じように白い歯ですが、人間の歯とワンちゃんの歯では歯の本数と歯の硬さが違います。
人間の歯は28本、ワンちゃんの歯は42本で、ワンちゃんの方が多いです。そして、歯を覆っているエナメル質の硬さがワンちゃんは人間の60~70%程度しかありません。ワンちゃんは噛む力が強いので、ワンちゃんの歯の方が硬いと思われがちですが、実は人間の歯の方が硬いのです。
ワンちゃんの歯のトラブルと言えば、歯周病や歯石、口臭トラブルなどが主で、虫歯はあまり聞いたことがないですよね。これは、人間の口内は酸性で虫歯になりやすく、逆にワンちゃんの口内はアルカリ性で、虫歯には強いからです。その他にも歯の形の違いや唾液の成分の違いが影響していると言われています。
しかし、 ワンちゃんは虫歯には強いですが、菌が繁殖しやすい口内環境にあります。
歯垢から歯石になるの?
「歯垢(しこう)」とは、食べカスに唾液中の成分が沈着したもので、約80%以上が細菌でできています。
歯垢を放置すると、そこに食事のミネラルやカルシウムが沈着して石灰化し、硬い「歯石」となっていきます。そしてなんと、 歯垢から歯石への変化は、48 時間で起こる と言われています。
ですので、48 時間以内に歯磨きをしてあげないと、歯石が増え続けることになり、歯石のザラザラによって更に歯垢がたまりやすい環境になって、病原菌の巣・お口の病気へとつながります。
実は、 「3 歳以上の成犬の約80%が歯周病をもっている」 と言われています。
ワンちゃんの歯の色は、本来は真っ白なので、黄ばんでいたり、茶色っぽいということは、すでに歯垢や歯石がついている証拠です。
そして、口腔内が健康であれば、無臭で匂いもしません。歯肉の色も健康であれば普通はピンク色。赤みがかっていたり、紫色っぽかったり、血が滲んでいる、膿が出ている、というような場合は、歯周病になっている可能性があります。
また、歯垢が歯石に変化したことによる歯周病や歯槽膿漏の歯や歯茎には、増殖する悪質な細菌がいて、それらを放置していると、膿が溜まって腫れ、それが破裂して、 口の中から顔の表面に向かって穴が開くことがあります。
穴が開くのは顔の表面だけではなく、歯茎(口腔内)にも穴が開いてしまうものや、口と鼻の間にある骨が溶けて貫通してしまうものもあります。
「クシャミがひどい」「鼻水や鼻血が出る」といった症状から鼻の病気だと思っていたのに、実は歯周病になっていた、という例も数多くあります。
歯周病が進行すると、細菌が血液を通して全身に運ばれ、心臓や腎臓、肝臓にたどり着き、内臓疾患を併発する可能性があります。
ペットフード(ドライフード)や硬いおやつ、おもちゃを噛むことによって多少の歯磨き効果はありますが、日ごろから軟らかい物を食べているとワンちゃんは、歯垢や歯石が付きやすくなっていきます。
日本ではペットフードの種類もたくさんあり、おやつやおもちゃなども豊富に売られていますが、ベトナムではまだ日本のようにはペットグッズが手に入りません。歯磨きガムや硬めのおやつなどに関しては入手が困難で、「日本帰国時に購入して来る」という話をよく聞きます。
とはいえ、やはり歯垢や歯石を予防するには、 歯磨きをしてあげるのが一番 です。ワンちゃんの歯磨きは、爪切りやシャンプーなどの日頃のケアと同じように、とても大切なことです。
どうやって歯磨きするの?
まずは口の中を触ることに慣れてもらうことが歯磨きをするための第一歩です。
最初はいきなり歯ブラシを使用するのではなく、指先にガーゼを巻きつけて口の中を触らせてくれるように練習をします。
慣れてきたらワンちゃん専用の歯ブラシに歯磨き液を付けて優しくブラッシングしていきます。この時片方の手でワンちゃんの唇を上にめくるように押さえておくと、歯も見やすく磨きやすいでしょう。
慣れてきたら奥歯の間に指を入れて口を開かせ、表面だけではなく歯の裏側も磨いてあげて下さい。
人間用の歯ブラシはワンちゃんにとっては硬いので、ワンちゃん専用の目の柔らかい歯ブラシを使うようにしましょう。
また、 人間用の歯磨き粉に配合されている「キシリトール」は少量でも低血糖を起こす可能性があるので絶対に人間の物は使用しないで下さい。
ワンちゃんがいつまでも元気でいられるよう、日頃から歯磨きをしてあげましょう。
次回、歯周病から引き起こされる病気について 佐々木動物病院 の獣医師より詳しくご説明致します。ぜひ、ご覧下さい。