前回のコラム 「ノミ・ダニが媒介する感染症」 に続き、今回は グルーミングサロン テンテン より、 日本とベトナム(ホーチミン)の違い、暑い国ならではのトラブル についてのお話です。
日本とベトナム(ホーチミン)の気候の違い
日本とベトナム(ホーチミン市)で一番大きく違うのは気候です。ホーチミン市は熱帯モンスーン気候で、一年中夏。雨季(5月~11月)と乾季(12月~4月)はあるものの一年を通して日中の気温は30℃前後、平均湿度はおよそ75%となっています。
今(9月)はちょうど雨季にあたり、ほぼ毎日のように雨が降ります。雨が降ると気温が下がり涼しく感じますが、湿度が上昇して蒸し蒸しします。ワンちゃんは全身毛で覆われているわけですから、余計に暑く感じて、全身が蒸れてしまいます。
ワンちゃんのしぐさを見て「耳掃除」を
特に垂れ耳のワンちゃんは、通気性が悪いので耳の中が蒸れ、細菌が繁殖しやすくなります。そして、犬種によっては耳の中に毛が生えていますので(プードル、マルチーズ、ヨーキー等)、耳の中の毛を定期的に抜いてあげたほうが良いです。
毛が伸びた状態だと毛に汚れが付着してしまい、拭いてもなかなか綺麗にはなりません。
耳の中に毛が生えている犬種は、毛を抜いてから耳掃除専用の液を付けて汚れを拭き取ってあげます。耳掃除専用の液は汚れをふやかして浮かせるだけではなく、殺菌効果もあるのでお勧めです。耳の中の皮膚はとても薄いので、乾いた状態の綿棒などでごしごし拭くと、皮膚が?けてしますので注意が必要です。
家庭で耳掃除をする場合に、「どこまで掃除していいかわからない。鼓膜にぶつかりそうで怖い」という声を多く聞きますが、ワンちゃんの耳の中はL字型の構造になっているので、まっすぐ止まる所まで入れても鼓膜には当たらないので、大丈夫です。
耳の汚れが多くなってくると、次のようなしぐさをすることが多いので、耳掃除をする目安にして下さい。
・頭をよく振る
・耳を掻く
・耳が臭う
・耳、耳周辺を触るのを嫌がる
外耳炎になると痒くて掻きむしって傷ができ、そこから化膿して耳が餃子のようにパンパンに腫れあがることもあります。外耳炎の治療は根気よく治療しないと、すぐにまたぶり返して、完治するまで長い時間がかかってしまうので、諦めずにケアして下さい。耳の中の毛を抜くのは自宅では難しいので、グルーミングサロンで抜いてもらうと良いでしょう。
全身に広がる「皮膚炎」に注意
そして、トラブルが起きるのは耳だけではなく、全身に及びます。毛の長い犬種よりも、ダブルコートと言われる長い毛の下にふわふわの毛が生えている犬種(ポメラニアン、ハスキー、秋田犬等)や、皮膚の弱い犬種(キャバリア、フレンチブルドッグ、ラブラドールレトリーバー等)に多く見られます。
自宅でシャンプーしたり雨で濡れたりした後、ドライヤーで乾かさずに自然乾燥させたり、半乾きの状態で放置してしまうケースががありますが、これが 皮膚トラブルを引き起こす最大の原因 になります。ワンちゃん自身の体温と外気温でジメジメした状態からじわじわと乾いていくと、細菌が繁殖したり、かゆみや湿疹が発生して痒くなり、掻きむしったり舐めたりして皮膚炎を起こしてしまいます。
皮膚炎が悪化していくと 部分的に脱毛 したり、 全身に脱毛が広がって行く ケースもあります。
皮膚炎が全身に広がりひどくなってしまった場合は、バリカンで毛を刈って皮膚の通気性を良くし、薬用シャンプーで週に1回ペースでシャンプーしなくてはいけません。皮膚を優しくマッサージしてあげるようなイメージで薬用シャンプーを擦り込んでいきます。そして、 ドライヤーでしっかり乾かしてあげることが重要 です。
また、当店で利用できる「マイクロバブルバス」という化学薬品を使用しないミクロンの空気の泡のお風呂に入れてあげることで、フケや垢、余分な皮脂などを取り除くことができます。これも皮膚トラブルを改善するのにとても有効です。
食べ物や植物がアレルギーを引き起こすことも
そして最近は、アレルギーを持つワンちゃんが増えてきているので、食べ物やワンちゃんが触れる植物などにも注意が必要です。例えば 観葉植物のアイビーや公園で見かけるチューリップ、ユリ、アジサイなどの植物は中毒症状を引き起こす 植物といわれているので、ワンちゃんが近づかないよう注意しましょう。
また、 南国ならではのフルーツ が美味しくて、ついワンちゃんにも食べさせてあげたくなりますが、 アレルギー反応を起こすものがある というだけでなく、 水分や糖分が多いので下痢の原因にも なりますので、与えすぎには注意が必要です。
皮膚炎の症状・治療などや、アレルギーを引き起こす可能性が高い食べ物についてのお話は、次回 佐々木動物病院 の獣医師より詳しく説明します。是非、ご覧下さい。