北部紅河デルタ地方ハイフォン市出身のブイ・クアン・カインさん(男性・16歳)は、ハノイ市にあるベトナム国立音楽院の60年余りの歴史の中で、ピアノ科に合格した初めての視覚障がい者だ。
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カインさんはこれまでにいくつもの国際的な賞を受賞しており、1980年にショパン国際ピアノコンクールでアジア人として初めて優勝を果たした世界的ピアニストのダン・タイ・ソン氏のように、このコンクールに挑戦する日を夢見ている。
11月のある朝、カインさんは北部紅河デルタ地方フンイエン省のエコパークにあるエジソン高校(Edison Schools)に登校した。バスを降りると、クラスメイトの肘をそっとつかんで、学校に入っていった。
担任の先生と座っておしゃべりをしながら、10月に中国で行われたKayserburg国際青少年ピアノコンペティションについて聞かれたカインさんは、熱く語り始めた。
このコンペティションは2年ごとに開催され、36か国・地域から8万人以上の参加者が集まる。カインさんはここで、4位に相当する優秀賞を受賞した。カインさんは、本選に進んだ500人の中で唯一の視覚障がい者だった。
「僕にとって、初めての国際コンクールというわけではありませんでしたが、今まで参加した中では規模が一番大きかったです。ダン・タイ・ソン氏に続けるよう、ショパン国際ピアノコンクールをはじめ、他の大きな舞台も制覇していきたいと思っています」とカインさん。
これに先立ち、カインさんは2020年にマレーシアで開催されたアジア太平洋芸術祭で金メダルを獲得し、2022年に韓国で開催された同規模のコンクールでも金賞を受賞している。
カインさんは、29週で生まれ、生まれたときから何も見えなかった。ある日のこと、カインさんの両親は、カインさんを連れて友人の家に遊びに行った。その家にはピアノがあり、カインさんはピアノの前に正しく座って、鍵盤の上に手を置いた。
目が見えないため、娯楽に恵まれてこなかったカインさんは、鳴り響くピアノの音に不思議な魅力を感じた。そしてその晩ずっと、カインさんはピアノの前に座り、鍵盤を鳴らしていた。
カインさんがピアノに興味を持っている様子を目にした両親は、ピアノを教えてくれる先生を探すことにした。それから1年近く経って、ようやく先生が見つかった。