息子の言葉を聞いて、母親は何も言えなくなってしまった。そして「わかった。もう1人息子が増えるのも嬉しいわ」と言った。
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こうして家族の理解を得ることができ、家族も結婚式の準備を手伝ってくれた。準備をしている間、両親は周りから息子たちカップルに対する心ない言葉をたくさん耳にしたが、ニーさんが悲しむことのないよう、本人に伝えることはしなかった。
2人はうきうきしながら結婚式の会場セットを借り、指輪を買い、衣装を選び、招待状を配った。2人の結婚を祝福してくれる人もいたが、中には2人の目の前で招待状を破り捨てる人もいた。「ちょっと悲しかったですが、幸せは自分たちが決めることですから。自分の代わりは誰もいないので、気にしません」とニーさんは語る。
ニーさんの故郷であるエアフジン村で行われた結婚式で、2人は終始笑顔だった。「愛する人と結婚できて幸せです」とトムさん。両家の家族も勢ぞろいし、2人はさらに幸せな気持ちになった。
ニーさんは、19歳のときの最初の結婚式は、本当の自分と決別するためのものだった、と打ち明けた。当時は義務を果たすかのように、ぎこちなく準備するだけだった。「あのときは、ステージに立っても自分がただのゲストのように感じたんです。でも今回は、本当の自分として、幸せな気持ちで祝福を受けることができました」とニーさんは話す。
ニーさんの両親は、自宅に2人のための部屋を作った。2人は今、ドンナイ省で工場労働者として働く代わりに、両親と実家に暮らしながら草を刈ったり、コーヒーやコショウを栽培したり、村の人々の手伝いをしたりしている。ニーさんは、自分たちの家を建てるために、かつてしていた複数の仕事も掛け持ちしている。真実の愛があれば、どんなことでも負担やプレッシャーに感じることはない。
ニーさんの両親は、当初は悲しさと不安もあったというが、息子たちが周りの理解を得て幸せそうにしている様子を目にして、今は息子たちカップルをサポートすることが正しいのだと思うようになった。
ニーさんとトムさんは2人揃って「今、人生で最も美しい、夢のような日々を過ごしています」と話す。「僕たちは、LGBTコミュニティ、特に少数民族の人たちに、困難があっても勇敢に自分らしくいてほしいと願っています。だって、人生は一度きりだから」とニーさんは語った。