1年に2度も宝くじで大当たりした男性の悲劇、片腕失い生きる今

2020/08/16 05:06 JST配信

 トアンさんの近所に住む友人はこう語る。「彼が注射を始めた時点で、すでに重症の麻薬中毒でした。その後、私が知っていた近所の麻薬中毒者は皆死んでしまいました。現在もまだ生きているのはトアンさんだけです」。

(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 麻薬を買うお金を得るため、トアンさんは失った左腕を利用することにした。やせ細った身体に粗末な服をまとい、数十km離れた村まで物乞いに出かけた。1日の終わりに幾らかのお米を恵んでもらうと、それを安値で食堂に売り、得たお金で麻薬を買った。麻薬を注射すると橋の下で眠り、ほとんど家には帰らなかった。

 1986年、トアンさんは31歳になり、1日に3回注射を打つほどのひどい麻薬中毒者になっていた。「当時、人々は私のことを、動物を見るような目で見ていました」とトアンさんは振り返る。

 そんな時、麻薬中毒だった友人の1人が亡くなった。トアンさんが線香をあげるためにその友人宅を尋ねると、たった数人の親族に囲まれ、部屋の中央に寂しく置かれた棺桶を目にした。「麻薬中毒者の死とはこんなにも屈辱的なものなのか。死んでも最後の別れに訪ねてくれる人もいない」とトアンさんに衝撃が走った。

 それから間もなく、トアンさんは別の麻薬中毒の友人が麻薬を求めて発作で苦しんでいるのを見た。その友人が幻覚を見ていたのか、はたまた自分の人生を終わらせたかったのか定かではないが、自分の血管に醤油を注射して死んでしまった。

 トアンさんは自分の将来も同じようになるのではと考え、自ら麻薬を断つことを決心した。「その時、私はただ生きたいと思ったのです。生きるためには麻薬を断つしかありませんでした」。

 家に帰ると、トアンさんは自分の部屋に閉じこもり、麻薬の発作と闘った。麻薬中毒者は水が怖くなると聞いていたため、トアンさんは発作が起きるたびにあえて風呂場で水を浴び、麻薬を断つために荒療治を行った。1日に3度の発作に襲われ、発作は毎回1時間に及んだ。10日ほど荒療治を続けると、中毒症状が徐々になくなり、1か月後には外出できるようになった。

 麻薬が抜けると、トアンさんは近所の世帯に水を配達する仕事を始めた。普通の人は1度に2つしか運べないが、トアンさんはさらに1つ多く運び、仕事に慣れると1度に4つも運べるようになった。「私が麻薬をやめたと信じる人はいませんでした。私は自分が健康になったことを皆に証明するため、仕事を頑張りました」とトアンさんは回想する。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 05:05 10/07/2020, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 メコンデルタ地方バクリエウ省人民裁判所は25日、宝くじの当選金をめぐり親友同士の2人が争っていた裁...
 メコンデルタ地方ビンロン省チャウタイン郡タンフー村では8月、宝くじに大当たりして一夜にして大金持...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
トップページに戻る