「うちで出しているコーヒーは他のどこを探しても見つからないですよ。ホーチミン市から古びたカブに乗ってダラットのカウダット村まで行って、海抜1700mにある完熟して一番美味しいコーヒー豆を一粒ずつ摘んでいますからね」と話すビンさんご自慢のコーヒーは、実に手間ひまが掛かっている。
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今から3年ほど前、コーヒーに魅せられたビンさんは金融やメディアの職を辞して良質なアラビカコーヒー豆が採れる木の探究を始めた。農家と協力し木を保護して、毎年12月に山へ登っては豆の収穫をする。ビンさんは豆の収穫から果肉の処理、豆の天日干しや選別、焙煎までを全て1人で行う。
コーヒー豆に携わるようになった当初は苦労も多かった。米国に留学していた頃にスターバックスコーヒーでアルバイト経験はあったものの、コーヒーについては全くの素人だったビンさんは、ユーチューブ(YouTube)の動画を見てコーヒー豆の生産からコーヒーを淹れるところまでを学んだ。
「豆の収穫を始めた頃、熟れたコーヒー豆が入った袋を泊まっていたホテルの玄関前に置いていたら果汁が漏れ出して、ホテルの職員に怒られたりして…」と、そんな出来事も今となっては楽しい思い出だ。コーヒー通の知人らに試飲をしてもらいながら、初めて褒めてもらった時にビンさんのコーヒーが完成したと感じたそうだ。