ベトナム史上初のパラリンピック金メダリスト、レ・バン・コン選手

2016/10/02 05:32 JST配信

 「当時、私は縫製の仕事を、彼は自宅で電子機器修理の仕事をしていました。2人の収入は合わせて月500万~600万VND(約2万2600~2万7000円)にしかなりませんでした。そのような苦しい状況でも夫の決意は固く、復帰する日を待ち望んでいつもトレーニングに励んでいました」とタムさんは回想した。

(C) zing, コン選手とタムさん
(C) zing, コン選手とタムさん
(C) zing, 金メダル獲得の瞬間
(C) zing, 金メダル獲得の瞬間
(C) zing, タムさん
(C) zing, タムさん
(C) zing, 仕事中のコン選手
(C) zing, 仕事中のコン選手

 コン選手の療養中、2人の間に長男が生まれた。一家はタンビン区にある広さ10m2ほどの小さな貸し部屋に住み、明るい未来を信じて互いに励まし合いながら何とか生計を立てて過ごしていた。

 「知り合ってから今まで、夫が私に花やプレゼントをくれたことはありません。たまに遊びに連れて行ってくれるだけです。でも私はロマンティック過ぎるのも嫌なので、それで良いんです。夫は物静かな人で、困難を口にすることはほとんどありません。一方で、彼はとても強いエネルギーに満ちていて、有言実行を果たす人です」とタムさんは教えてくれた。

 怪我の回復後、コン選手は世界記録を3度打ち破る成功を収め、完全復帰を遂げた。そして2014年にASEANパラゲームズで再び金メダルを獲得したほか、世界大会でも銀メダルを手にした。これらの賞金とこれまでの貯蓄で、コン選手はメコンデルタ地方ロンアン省に100m2の土地を購入し、自宅を建てた。

 今年で新居に引っ越して2年が経つ。コン選手のトレーニングの場所からはかなり離れているが、自宅はいつも平和で、家族の笑い声に満ちている。6か月前には長女も生まれた。子供達の世話をするためタムさんは休職中で、一家の収入はコン選手にかかっている。いつかホーチミン市の近くに引っ越したいという夢もある。でも、それもまだ先の話。一家にとって、家族で過ごす団らんの瞬間こそが今の一番の幸せなのだ。

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[Nguyen Dang, Zing, 14:08 09/09/2016, A]
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