15歳のグエン・ゴック・チョン君は、「今年は獅子の踊りを覚えたので、上手に踊れるように皆と練習を重ねています。そうして初めて、家族を助けるためのお金をもらうことができるからです」と語った。
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(C) kenh14, ハンさん(中央)と団員 |
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最も見応えがあり、また一番辛いのは、麒麟が直立する姿勢だ。麒麟を担当する子どもたちは皆10kgから15kgもある麒麟の頭を持って演舞の練習をしなければならない。後ろの子どもは前の子どもと麒麟の頭の両方を支えなければいけないのでとても大変だ。しかし皆、人々を魅了する演舞ができるよう、またより多くのチップがもらえるよう、一生懸命練習に励んでいる。
13歳のファム・ホアイ・トゥオン君は打ち明けた。「はじめ、僕は2食分のご飯を得るためにここに来ました。でも先生は僕にとてもよくしてくれて、かわいがってくれました。僕は演舞を覚え、お給料ももらいました。それで、久しぶりに家に帰り、両親にお金を渡すことができたんです。僕は今、中秋節に麒麟を踊るため頑張って練習しています。僕は約15kgの麒麟の頭を演じていますが、たった4分なので、きっと自分の演技を成功させられると思います」。
彼らは、家族と離れて恋しく想うほど、家族のためにお金を貯めようと更に頑張れる、と話す。そのため、練習や演舞が辛くても不満を言う子どもはいない。まだ子どもとはいえ、彼らはいつも真剣だ。もしリズムが合わなければ、麒麟の頭とお尻が揃わず演舞は失敗となり、一緒に演舞している仲間が怪我をするかもしれないことを皆知っている。
16歳のズオン・チー・バオ君は、「僕は勉強が好きだったけれど、家がとても大変だったので、木を植える仕事をするため学校に行けなくなりました。家の近くに何人か演舞をしているお兄さんがいて格好良いと思ったので、僕も習いたいとお願いしました。朝は木を植えに行き、午後から演舞の練習をしました。人々が熱狂して僕の演舞を観てくれる時はとても嬉しくなります」と演舞の喜びを教えてくれた。
一方でバオ君は、家族に対する気持ちについても語った。「でも演舞が終わるととても家族が恋しくなります。数年前の中秋節で、僕の家には月餅がなかったので、今年は頑張って演舞してお金を貯めて、家に月餅を送りたいと思っています。僕はここでハン先生に演舞を習い続ける予定です。もし家に帰ったら、父母を養う人が誰もいなくなってしまいます」。
教え子たちの気持ちを知り、演舞に行く子どもたちが寂しさを感じることのないように、ハンさんは祝日やテトの前には食事会を開き、プレゼントやケーキなどを渡すことにしている。とはいえ、まだ幼い子どもたちは、獅子や麒麟を舞っている最中に両親と笑い合う他の子どもを見かければ、やはりそんな幸福な家族を渇望してしまうというのも本心のようだ。