南中部沿岸地方クアンナム省ズイスエン郡ナムフオック町には、子どもから大人まで皆によく知られた有名な強面のおじさんがいる。彼の名は、レ・バン・ティンさん(42歳)だ。ティンさんはこの20年間、子供たちの登下校を見守り、交通誘導をボランティアで行ってきた。
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20歳の頃、彼はナムフオック町の三叉路にある小さな修理工の店に転がり込んだ。客はそれほど多くなく、暇を持て余して路上に座っている間、彼はいくつもの交通事故を目撃してきた。事故の多くは、標識や信号のない通りでお年寄りや子どもが左右をよく見ずに渡ってしまうことが原因だった。彼はそんな光景を見かけると、仕事の傍らすぐに駆け寄って道を渡る手助けをしてきた。そのせいで本業の修理店の客をカンカンに怒らせて、客を失ったこともあったという。
初めの頃、彼が幼い子の手を引いて道を渡っていると、それを見た誰もが「彼のような強面の男が何をしているんだ」「どうせすぐ飽きるだろう」と笑った。それでも彼は意に介さず、子供たちが登校する時間になると毎日通りに出て、道を渡るのを見守ってきた。