彼はそのわずかな資金を手にハノイ市に戻り、精進料理食堂をオープンする計画を練り始めた。まず、1400万VND(約7万9000円)でバイクを購入し、店舗の賃料や従業員の人件費に充てるお金を家族に借りるために故郷へ帰った。善意から始まった彼の計画に、たくさんの人が賛同し助けてくれた。こうして2012年の旧暦3月1日、フオックハウ精進料理食堂はオープンした。
(C) soha 食事代は「心付け」を箱に入れる |
(C) soha おかずは自分で選んでとる |
(C) soha 店主のダットさん |
初期資金は少なく店を開いたのもビジネス目的ではなかったため、従業員は2人しか雇わなかったが、親戚や友人がたくさん手伝いに来てくれた。彼は毎朝4時に起きて市場へ買い出しに行き、厨房に入り調理をし、更にホールの仕事までこなした。
2014年の旧暦5月15日からは、店のシステムを「おかずは自分で選んでとり、食事代は自分が払いたい分だけ払う」ように変更した。このシステムを導入することで彼が目指したのは、収入の少ない人でも精進料理が食べられる食堂だ。彼は、精進料理を食べる人が増えることで、殺生も減ると考えた。