EFEOは調査・研究だけでなく、ベトナムにおける博物館の基礎も築いた。1926年、歴史的な遺物の保管を目的として、後のベトナム歴史博物館、そして現在の国家歴史博物館の前身であるルイ・フィノ博物館をハノイ市に建設(ルイ・フィノはEFEOの多額の資金援助をした人物)。更に1915年には、EFEOの研究者アンリ・パルマンティエが南中部沿岸地方ダナン市に現在のチャム彫刻博物館である博物館を建設し、1936年にアンリ・パルマンティエ博物館と名付けられた。
(C) vov クアンナム省ミーソン聖域の調査の様子 |
(C) vov タインホア省の世界遺産、胡(ホー)朝城の発掘調査の様子 |
(C) vov クアンナム省ドンズオン遺跡(寺院遺跡)の彫刻 |
(C) vov 1926年のハノイ市の様子 |
現在EFEOが所蔵する資料には、カンボジア関連の写真3万枚、ベトナム7000枚、中国3000枚、ラオス3000枚などが含まれる。今回の企画展で展示されている写真55枚は莫大な資料の中から厳選されたもので、オリジナルの写真は19世紀後半に発明された「臭化銀(シルバー・ブロマイド)ゼラチン乾板」(ガラス板に臭化銀粒子を感光剤として散乱させたゼラチン乳剤を塗布した乾板)を用いて撮影された大判や中判のネガフィルムとなっている。いずれもデジタル化され、復元処理が行われた。
展示されている写真は、◇考古学、◇各博物館の建設、◇20世紀初頭のベトナムの暮らし、◇南郊壇の儀式の4つのテーマに分かれている。
「考古学」では、EFEOの研究者によるベトナム各地の遺跡の復元など、当時の考古学的調査の過程を紹介している。注目すべきはチャンパとオケオの文化に関わる新発見の数々で、発掘された建造物や遺物などの写真が残されている。
「各博物館の建設」では、EFEOが建設した各博物館の写真を紹介。EFEOはベトナム、ラオス、カンボジアを合わせた領域のフランス領インドシナ(1887~1954年)に8つの博物館を建設した。このうち国家歴史博物館及びチャム彫刻博物館を含む5つが現在のベトナムに建てられた。