クインさんは新天地でも、さっそく水力発電に着手した。今度も鉄板の切断や溶接などを一人で行った。そしてダクルン川に出力1000kWの発電装置を設置し、150世帯と村人民委員会の庁舎への電力供給に成功した。
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しかしこの発電装置は、ダクルティ水力発電所の貯水池に飲み込まれてしまった。この後クインさんは貯水池を必要としない「グリーン水力発電」の発電タービンの研究開発に夢中になった。川の流れを堰き止めない流れ込み式で、3メートルの落差があればかなりの発電が可能だ。また圧縮空気システムを使えば、水量が減る乾季にも十分な発電量を確保できるという。
クインさんは、この新しい発電タービン(出力1500kW)をダクラップ郡のダクウェ川に設置することを決めた。発電タービンの製造工場はまだ建設されていない段階だが、クインさんの元には既に多くの発注が寄せられている。
ダクノン省科学技術局はクインさんの発明した発電タービンについて、発電コストが通常のタービンの10分の1と安い上に、ダムや貯水池を建設する必要がなく環境にもやさしいと高く評価。特許取得の手続きを行うよう勧めている。